意外と曖昧?音名と階名の違いをしっかり理解していこう♪
2012-11-22 : ピアノレッスンこんにちは、FUKUON 福田音楽教室
ピアノ講師&音楽療法士の福田りえです。 (*^-^)/
音名(おんめい)と階名(かいめい)。音楽の学習においては初歩的な知識でありながら、意外と曖昧なこの2つ。
ピアノは上手に弾けるけど、その特徴や違いはハッキリと言えない、なーんて子もいたりして。とっても基本的なことなんですが、ちゃんと理解していないと後々こんがらがってしまいますよね。
そこでピアノ初心者の方がまず知っておいた方がいい、音名と階名の特徴と違いについて見ていきましょう。
「音名」というのは簡単にいうと、ひとつひとつの音につけられた固有の名前、です。少しむずかしく言うと、絶対的な音の高さを表すもの、それを音名と呼びます。
五線譜上のそれぞれの音に名前をつけておくことで、どの音のことを指しているのか明確に特定できますから、作曲したり楽譜を書くとき、あるいは誰かと話すときなどにも、とっても便利なんですね。
ただそんな有能な音名ですが、紛らわしいと感じる要素がいくつかあるので、注意が必要です。
実は音名の表記方法は国によって方式が違うんですよね。固有の名前のはずなのにややこしいと感じるのは、まず表記の仕方がいろいろあるためでもあるんです。
各国の音名の表記方法を、簡単な表にまとめてみました。
ぱっと見、ドイツ式とアメリカ・イギリス式が似てて、イタリア式とフランス式もそっくり、日本式だけがちょっと…、そんな感じですよね。
それぞれの国でそれぞれの音名方式だけを使っていれば、そこまでややこしくはありませんが、音楽には国境はありません。いろいろと入り乱れているのが現状です。^^;
特に日本では日本式の音名表記はもちろん、ドイツ式やアメリカ・イギリス式も使われます。反面、イタリア式は階名に使う関係で、音名としてはほとんど使われません。
さらにクラシックではドイツ式、ポピュラーやジャズではアメリカ・イギリス式など、音楽のジャンルによって使い分けたり、楽器編成によっても変わることもあります。
また小学校や中学校の音楽の授業での扱いも、時代や教わる先生によっては違いがあるかもしれませんね。
え、もうすでに頭がこんがらがって来そう? まだですよ〜。もう少し詳しく見ていきましょう。^^
(※以降、フランス式の説明は割愛します。Je suis désolé.)
先ほどの各国の音名表記を見て、「あれ!すべての音に個別の名前がついているはずなのに、どの国の音名も7つしかないぞ!?」って思いませんか。これじゃ全然足りないぞ、って。
たとえばピアノの鍵盤は88鍵ありますが、そのひとつひとつに音名を付けようとすると、7つの音名だけでは全然まったく足りませんよね。
実はこれら7つの音名を「幹音(かんおん)」といい、7つの幹音でひとつのオクターブを構成しています。日本式だとハ〜ロの7つの幹音で、ひとつのオクターブ(いわゆるド〜シまでの7つ分の音)となります。
そしてこれらの7つの幹音をいろいろ工夫しながら、オクターブごとに違いをつけていくんですね。
という具合に、ひらがな、カタカナを両方使いながら、上下に(・)や(:)など点をつけて、オクターブごとに区別していきます。
読み方は(・)が上に付いている場合は、付いている(・)の数に応じて、「一点ハ」や「二点へ」、下に付いている場合は、同じく「下一点は」や「下二点へ」などとなります。(「下」は「した」と読む。)
(・)が付かない場合のひらがなとカタカナの読み方の違いや、「カタカナのヘ」と「ひらがなのへ」の区別など、紛らわしい点もあるので注意しましょう。
大文字・小文字のアルファベットC〜Hと数字で、オクターブごとに区別しています。
ここまでアメリカ・イギリス式と一括りにしてきましたが、音名のオクターブ表記では、アメリカ式とイギリス式ではちょっと違ってきます。
■アメリカ式
大文字のアルファベットC〜Bと数字を使って、オクターブが区別されています。
■イギリス式
大文字と小文字のアルファベットC〜Bと、大文字の場合は重ねて、小文字の場合は( ' )ダッシュで、オクターブを区別しています。ちょっと独特ですね。
※イギリス式音名のオクターブ表記については非常に情報が少なく、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
⇒ ことね|音の呼び方:初学者のための音楽講義(外部サイト)
小文字のdo,re,mi,fa,sol,siに下付きの数字が付きます。低いオクターブではマイナスの数字になります。
※イタリア式音名のオクターブ表記もまた情報が非常に少なく、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
⇒ 龍ミディネット|楽典 第2章音名 3.異名同音(外部サイト)
ちなみに、いわゆる「真ん中のド」を音名で表記すると……
日本式は
一点ハになり、
ドイツ式では
c1になります。(cは小文字)
アメリカ式では
C4で、
イギリス式では
c'です。(cは小文字)
イタリア式だと
do2となります。
音名と楽譜、そしてピアノの鍵盤の関係が、直感的にわかるように図にしてみました。音名は日本式とドイツ式、アメリカ式、イギリス式、イタリア式の5つ。ピンクの部分が真ん中のドになっています。
※画像をクリックすると拡大します。(2000x1074 226KB)
固有の音の名称である音名は、もちろん(シャープ)や(フラット)、それに(ダブルシャープ)や(ダブルフラット)など変化記号の付いた派生音にもあります。
※読み:嬰(えい)、重嬰(じゅうえい)、変(へん)、重変(じゅうへん)
嬰は(シャープ)を表し、変は(フラット)を、そして重は「かさなる」、つまりダブルの意味として使われています。
もちろんオクターブが変われば、(・)や(:)が上下に付くことになりますよ。^^;
ドイツ式の派生名は、音大など、特にクラシックの専門コースへ進まれる方は、是非おぼえておいた方がいいでしょう。
※表では改行されて表示されてしまいますが、実際には改行せずに表記します。
イタリア式の派生音名は、次にご紹介するアメリカ・イギリス式の派生音名に似ていて、ならそれぞれの音に続けて「diesis」を、なら「doppio diesis」を、なら「bemolle」、は「doppio bemolle」を付け加えて表記します。
※表では改行されて表示されてしまいますが、実際には改行せずに表記します。
アメリカ・イギリス式での派生音名表記は、とてもシンプルでおぼえやすくなっています。
だったらそれぞれの音に続けて「sharp」を、なら「double sharp」を、なら「flat」、は「double flat」を付け加えて表記するだけ。言葉の意味もストレートでわかりやすいですよね。^^
このアメリカ・イギリス式の派生音名は、日本でも一般的に使われています。
CDEFGABのアメリカ・イギリス式そのままで使われることもありますし、「レのシャープ」とか「ミのフラット」という、階名ドレミファソラシと組み合わせて使われることもあります。
もちろん筆記の場合は、普通に「レ♯」や「ソ♭」と書くのはご存知の通りです。
さて、ここまでが音名に関する一般的なセオリーとなります。次に階名へと進みましょう。
すべての音に固有の名前を付けた音名が、音を特定するのに向いていたのに対して、階名は歌ったり楽器を演奏するとき、音を読み取るのにとても便利な存在となっています。
階名も各国ごとに表記の違いがありますが、日本では一般的にイタリア式の音名がそのまま「階名」の表記に使われています。イタリア式の音名とは、つまり「ドレミファソラシ」のことですね。
※各国ごとの階名は後述の表を参照してください。
「階名」というのは、どれかひとつの音を基準となる主音として、そこからの音の高さ低さの違いでつける名前です。
通常は「ド」の音を主音にして、ひとつ上の音は「レ」、ひとつ下の音は「シ」、ふたつ上の音は「ミ」、ふたつ下の音は「ラ」となり、順次ドレミファソラシの音階が形作られていくわけです。
※短調の場合は主音をドの2度音下の音を主音にする、というお話しはややこしくなるので割愛します。
ここで初心者の方が迷いやすいのが、主音の「ド」を決める方法が2つあるということ。そう、固定ドと移動ドの存在です。
固定ドと移動ドについて説明しはじまると、どんどん記事が長くなりますので、今回は簡単な違いだけに留めておきますね。
まず固定ドは、主音である「ド」の音の高さが固定されますので、楽譜の見た目の音符の位置とまったく同じ階名になります。調による影響もまったく受けず、常に同じ階名になります。
それに対して移動ドでは、調によって主音となる音が変化し、そして常に主音は「ド」となります。
たとえばハ長調は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と、「ド」からはじまるので主音は「ド(=ハ)」です。
それがニ長調になると、「レ・ミ・♯ファ・ソ・ラ・シ・♯ド」と主音は「レ(=ニ)」に移動しますが、主音「レ」は「ド」として読みかえますので、他の音も同じく移動します。
お馴染み『メヌエット ト長調 BWV Anh.114』の最初の2小節を使って、固定ドと移動ドの階名の違いを簡単に見てみましょう。
固定ドでは楽譜の音符位置そのままに読みますから、「レソラシドレソソ」となります。
移動ドで読むと、ト長調の主音「ソ」が「ド」になるので、「ソドレミファソドド」という読みになります。
このように階名「ドレミファソラシ」は、どの音を基準(主音)にするかによって変化するものなんですね。
固定ドでは主音が固定され、移動ドでは調によって主音が変化する……
つまり、音名が絶対的な音の高さを表す固有の名前であったのに対して、階名は主音の位置によって変化する相対的な音の名称であり、主音からの相対的な音の高さを表しているといえます。
近年はバスティンやペース・メソッドなど、アメリカ発の指導法も広く普及していますので、アメリカ式階名についても少しだけご紹介しておきます。同時にドイツ式階名も載せておきますね。
アメリカ式やドイツ式の階名の特徴として、やなど派生音にも階名が付いていることです。日本の階名ドレミファソラシと並べて見てみましょう。
このアメリカ式階名はMovable doと呼ばれる手法のようで、他にもトニック・ソルファ法やコダーイ・システムといったものもあるようです。
ただアメリカ式の階名に関しては正直なところ専門外なので、他の詳しい先生方にお聞き下さいネ。m(_ _)m
※この表を作るにあたってはこちらのサイトを参考にさせていただきました。
⇒ 視唱と移動ドでの読譜 | Onlineイヤートレーニング 〜独学で身につける相対音感〜
なおドイツ式階名に限らず、イタリアやフランスなどでは、音名と階名を明確には分けていないようで、この表でもドイツ式音名と同じ表記が並んでいます。
ということで、階名についてはわかりましたか?^^
ちょっと長くなりましたので、簡単にまとめておきますね。
ひとつひとつの音につけられた固有の名前で、絶対的な音の高さを表すもの。音を特定するのにとても便利。
国によって表記が違うが、日本では日本式の「ハニホヘトイロ」や、ドイツ式、アメリカ・イギリス式が使われる。
主音の位置によって変化する相対的な音の名称であり、主音からの相対的な音の高さを表しているもの。歌ったり楽器を演奏するとき、音を読み取るのにとても便利。
日本ではイタリア式音名である「ドレミファソラシ」を階名として、固定ドもしくは移動ドで使う。
セオリーはセオリーとして、でも実際はどうなっているか? 一般的な傾向として強引にまとめてしまおう……かと考えたのですが、やはり差し控えることにしました。
ここで一般的にはこう使われているとか、こう教えられている、こう考えられているといった傾向を示したり、また私個人の見解を混ぜてしまうのは、やはり適切ではないと思います。
音名や階名に関しては、移動ドや固定ドと共に、いろんな立場によって運用法が千差万別であり、学校音楽教育と校外音楽教育でもいろんな違いがあり、校外音楽教育でも様々なアプローチがあり得るんですね。
より良い方法を模索してながら、今なお研究と実践が行われている最中だとも言えます。
なので一般的にはこうだ、好ましいのはこうである、とまとめてしまうことによって、特に初心者の方にさらに余計な混乱を与えてしまう可能性も否定できませんし、それは本意ではありません。
よってこの記事では、ある程度網羅的に情報を記載するだけに留めておこうと思います。
さて、本日のピアノ魔法は…
(〃^∇^)ノ~エイ*・゜゜・*:.。..彡☆
久しぶりのハズレでした〜。
もうお腹いっぱいですよね!?^^;
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いちばん親切な楽典入門
では みなさん!
今日も楽しいピアノライフを♪ ・∀・*)ノ
*:゜・*:.。.*.。.:*・・*:.。*・
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ピアノ講師&音楽療法士の福田りえです。 (*^-^)/
音名(おんめい)と階名(かいめい)。音楽の学習においては初歩的な知識でありながら、意外と曖昧なこの2つ。
ピアノは上手に弾けるけど、その特徴や違いはハッキリと言えない、なーんて子もいたりして。とっても基本的なことなんですが、ちゃんと理解していないと後々こんがらがってしまいますよね。
そこでピアノ初心者の方がまず知っておいた方がいい、音名と階名の特徴と違いについて見ていきましょう。
この記事の目次:
「音名」とは?
「音名」というのは簡単にいうと、ひとつひとつの音につけられた固有の名前、です。少しむずかしく言うと、絶対的な音の高さを表すもの、それを音名と呼びます。
五線譜上のそれぞれの音に名前をつけておくことで、どの音のことを指しているのか明確に特定できますから、作曲したり楽譜を書くとき、あるいは誰かと話すときなどにも、とっても便利なんですね。
ただそんな有能な音名ですが、紛らわしいと感じる要素がいくつかあるので、注意が必要です。
音名の表記方法にはいろいろある
実は音名の表記方法は国によって方式が違うんですよね。固有の名前のはずなのにややこしいと感じるのは、まず表記の仕方がいろいろあるためでもあるんです。
各国の音名の表記方法を、簡単な表にまとめてみました。
日本式 | ハ | ニ | ホ | ヘ | ト | イ | ロ |
ドイツ式 | C (ツェー) | D (デー) | E (エー) | F (エフ) | G (ゲー) | A (アー) | H (ハー) |
アメリカ・イギリス式 | C (スィー) | D (ディー) | E (イー) | F (エフ) | G (ジー) | A (エイ) | B (ビー) |
イタリア式 | Do (ド) | Re (レ) | Mi (ミ) | Fa (ファ) | Sol (ソ) | La (ラ) | Si (シ) |
フランス式 | Ut (Do) | Re | Mi | Fa | Sol | La | Si |
ぱっと見、ドイツ式とアメリカ・イギリス式が似てて、イタリア式とフランス式もそっくり、日本式だけがちょっと…、そんな感じですよね。
それぞれの国でそれぞれの音名方式だけを使っていれば、そこまでややこしくはありませんが、音楽には国境はありません。いろいろと入り乱れているのが現状です。^^;
特に日本では日本式の音名表記はもちろん、ドイツ式やアメリカ・イギリス式も使われます。反面、イタリア式は階名に使う関係で、音名としてはほとんど使われません。
さらにクラシックではドイツ式、ポピュラーやジャズではアメリカ・イギリス式など、音楽のジャンルによって使い分けたり、楽器編成によっても変わることもあります。
また小学校や中学校の音楽の授業での扱いも、時代や教わる先生によっては違いがあるかもしれませんね。
え、もうすでに頭がこんがらがって来そう? まだですよ〜。もう少し詳しく見ていきましょう。^^
(※以降、フランス式の説明は割愛します。Je suis désolé.)
7つの音名を使い回してるの?
先ほどの各国の音名表記を見て、「あれ!すべての音に個別の名前がついているはずなのに、どの国の音名も7つしかないぞ!?」って思いませんか。これじゃ全然足りないぞ、って。
たとえばピアノの鍵盤は88鍵ありますが、そのひとつひとつに音名を付けようとすると、7つの音名だけでは全然まったく足りませんよね。
実はこれら7つの音名を「幹音(かんおん)」といい、7つの幹音でひとつのオクターブを構成しています。日本式だとハ〜ロの7つの幹音で、ひとつのオクターブ(いわゆるド〜シまでの7つ分の音)となります。
そしてこれらの7つの幹音をいろいろ工夫しながら、オクターブごとに違いをつけていくんですね。
日本式音名のオクターブ表記法は……
という具合に、ひらがな、カタカナを両方使いながら、上下に(・)や(:)など点をつけて、オクターブごとに区別していきます。
読み方は(・)が上に付いている場合は、付いている(・)の数に応じて、「一点ハ」や「二点へ」、下に付いている場合は、同じく「下一点は」や「下二点へ」などとなります。(「下」は「した」と読む。)
(・)が付かない場合のひらがなとカタカナの読み方の違いや、「カタカナのヘ」と「ひらがなのへ」の区別など、紛らわしい点もあるので注意しましょう。
ドイツ式音名のオクターブ表記法だと……
大文字・小文字のアルファベットC〜Hと数字で、オクターブごとに区別しています。
アメリカ・イギリス式音名のオクターブ表記法は……
ここまでアメリカ・イギリス式と一括りにしてきましたが、音名のオクターブ表記では、アメリカ式とイギリス式ではちょっと違ってきます。
■アメリカ式
大文字のアルファベットC〜Bと数字を使って、オクターブが区別されています。
■イギリス式
大文字と小文字のアルファベットC〜Bと、大文字の場合は重ねて、小文字の場合は( ' )ダッシュで、オクターブを区別しています。ちょっと独特ですね。
※イギリス式音名のオクターブ表記については非常に情報が少なく、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
⇒ ことね|音の呼び方:初学者のための音楽講義(外部サイト)
イタリア式音名のオクターブ表記法は……
小文字のdo,re,mi,fa,sol,siに下付きの数字が付きます。低いオクターブではマイナスの数字になります。
※イタリア式音名のオクターブ表記もまた情報が非常に少なく、こちらのサイトを参考にさせていただきました。
⇒ 龍ミディネット|楽典 第2章音名 3.異名同音(外部サイト)
真ん中のドの音名は?
ちなみに、いわゆる「真ん中のド」を音名で表記すると……
日本式は
一点ハになり、
ドイツ式では
c1になります。(cは小文字)
アメリカ式では
C4で、
イギリス式では
c'です。(cは小文字)
イタリア式だと
do2となります。
音名と楽譜、ピアノ鍵盤の関係
音名と楽譜、そしてピアノの鍵盤の関係が、直感的にわかるように図にしてみました。音名は日本式とドイツ式、アメリカ式、イギリス式、イタリア式の5つ。ピンクの部分が真ん中のドになっています。
※画像をクリックすると拡大します。(2000x1074 226KB)
♯(シャープ)や♭(フラット)の音名はどうなるの?
固有の音の名称である音名は、もちろん(シャープ)や(フラット)、それに(ダブルシャープ)や(ダブルフラット)など変化記号の付いた派生音にもあります。
日本式の派生音名
ハ | ニ | ホ | ヘ | ト | イ | ロ | |
嬰ハ | 嬰ニ | 嬰ホ | 嬰ヘ | 嬰ト | 嬰イ | 嬰ロ | |
重嬰ハ | 重嬰ニ | 重嬰ホ | 重嬰ヘ | 重嬰ト | 重嬰イ | 重嬰ロ | |
変ハ | 変ニ | 変ホ | 変ヘ | 変ト | 変イ | 変ロ | |
重変ハ | 重変ニ | 重変ホ | 重変ヘ | 重変ト | 重変イ | 重変ロ |
※読み:嬰(えい)、重嬰(じゅうえい)、変(へん)、重変(じゅうへん)
嬰は(シャープ)を表し、変は(フラット)を、そして重は「かさなる」、つまりダブルの意味として使われています。
もちろんオクターブが変われば、(・)や(:)が上下に付くことになりますよ。^^;
ドイツ式の派生音名
C (ツェー) | D (デー) | E (エー) | F (エフ) | G (ゲー) | A (アー) | H (ハー) | |
Cis (ツィス) | Dis (ディス) | Eis (エイス) | Fis (フィス) | Gis (ギス) | Ais (アイス) | His (ヒス) | |
Cisis | Disis | Eisis | Fisis | Gisis | Aisis | Hisis | |
Ces (ツェス) | Des (デス) | Es (エス) | Fes (フェス) | Ges (ゲス) | As (アス) | Hes (ヘス) - - - B (ベー) | |
Ceses | Deses | Eses | Feses | Geses | Asas Ases | Heses Bes BB |
ドイツ式の派生名は、音大など、特にクラシックの専門コースへ進まれる方は、是非おぼえておいた方がいいでしょう。
イタリア式の派生音名
Do (ド) | Re (レ) | Mi (ミ) | Fa (ファ) | Sol (ソ) | La (ラ) | Si (シ) | |
Do diesis | Re diesis | Mi diesis | Fa diesis | Sol diesis | La diesis | Si diesis | |
Do doppio diesis | Re doppio diesis | Mi doppio diesis | Fa doppio diesis | Sol doppio diesis | La doppio diesis | Si doppio diesis | |
Do bemolle | Re bemolle | Mi bemolle | Fa bemolle | Sol bemolle | La bemolle | Si bemolle | |
Do doppio bemolle | Re doppio bemolle | Mi doppio bemolle | Fa doppio bemolle | Sol doppio bemolle | La doppio bemolle | Si doppio bemolle |
※表では改行されて表示されてしまいますが、実際には改行せずに表記します。
イタリア式の派生音名は、次にご紹介するアメリカ・イギリス式の派生音名に似ていて、ならそれぞれの音に続けて「diesis」を、なら「doppio diesis」を、なら「bemolle」、は「doppio bemolle」を付け加えて表記します。
アメリカ・イギリス式の派生音名
C (スィー) | D (ディー) | E (イー) | F (エフ) | G (ジー) | A (エイ) | B (ビー) | |
C sharp | D sharp | E sharp | F sharp | G sharp | A sharp | B sharp | |
C double sharp | D double sharp | E double sharp | F double sharp | G double sharp | A double sharp | B double sharp | |
C flat | D flat | E flat | F flat | G flat | A flat | B flat | |
C double flat | D double flat | E double flat | F double flat | G double flat | A double flat | B double flat |
※表では改行されて表示されてしまいますが、実際には改行せずに表記します。
アメリカ・イギリス式での派生音名表記は、とてもシンプルでおぼえやすくなっています。
だったらそれぞれの音に続けて「sharp」を、なら「double sharp」を、なら「flat」、は「double flat」を付け加えて表記するだけ。言葉の意味もストレートでわかりやすいですよね。^^
このアメリカ・イギリス式の派生音名は、日本でも一般的に使われています。
CDEFGABのアメリカ・イギリス式そのままで使われることもありますし、「レのシャープ」とか「ミのフラット」という、階名ドレミファソラシと組み合わせて使われることもあります。
もちろん筆記の場合は、普通に「レ♯」や「ソ♭」と書くのはご存知の通りです。
さて、ここまでが音名に関する一般的なセオリーとなります。次に階名へと進みましょう。
「階名」とは?
すべての音に固有の名前を付けた音名が、音を特定するのに向いていたのに対して、階名は歌ったり楽器を演奏するとき、音を読み取るのにとても便利な存在となっています。
階名も各国ごとに表記の違いがありますが、日本では一般的にイタリア式の音名がそのまま「階名」の表記に使われています。イタリア式の音名とは、つまり「ドレミファソラシ」のことですね。
※各国ごとの階名は後述の表を参照してください。
「階名」というのは、どれかひとつの音を基準となる主音として、そこからの音の高さ低さの違いでつける名前です。
通常は「ド」の音を主音にして、ひとつ上の音は「レ」、ひとつ下の音は「シ」、ふたつ上の音は「ミ」、ふたつ下の音は「ラ」となり、順次ドレミファソラシの音階が形作られていくわけです。
※短調の場合は主音をドの2度音下の音を主音にする、というお話しはややこしくなるので割愛します。
ここで初心者の方が迷いやすいのが、主音の「ド」を決める方法が2つあるということ。そう、固定ドと移動ドの存在です。
固定ドと移動ド、そして階名
固定ドと移動ドについて説明しはじまると、どんどん記事が長くなりますので、今回は簡単な違いだけに留めておきますね。
固定ドと階名
まず固定ドは、主音である「ド」の音の高さが固定されますので、楽譜の見た目の音符の位置とまったく同じ階名になります。調による影響もまったく受けず、常に同じ階名になります。
移動ドと階名
それに対して移動ドでは、調によって主音となる音が変化し、そして常に主音は「ド」となります。
たとえばハ長調は「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」と、「ド」からはじまるので主音は「ド(=ハ)」です。
それがニ長調になると、「レ・ミ・♯ファ・ソ・ラ・シ・♯ド」と主音は「レ(=ニ)」に移動しますが、主音「レ」は「ド」として読みかえますので、他の音も同じく移動します。
固定ドと移動ドの簡単な比較
お馴染み『メヌエット ト長調 BWV Anh.114』の最初の2小節を使って、固定ドと移動ドの階名の違いを簡単に見てみましょう。
固定ドでは楽譜の音符位置そのままに読みますから、「レソラシドレソソ」となります。
移動ドで読むと、ト長調の主音「ソ」が「ド」になるので、「ソドレミファソドド」という読みになります。
つまり階名とは……
このように階名「ドレミファソラシ」は、どの音を基準(主音)にするかによって変化するものなんですね。
固定ドでは主音が固定され、移動ドでは調によって主音が変化する……
つまり、音名が絶対的な音の高さを表す固有の名前であったのに対して、階名は主音の位置によって変化する相対的な音の名称であり、主音からの相対的な音の高さを表しているといえます。
アメリカ式階名とドイツ式階名
近年はバスティンやペース・メソッドなど、アメリカ発の指導法も広く普及していますので、アメリカ式階名についても少しだけご紹介しておきます。同時にドイツ式階名も載せておきますね。
アメリカ式やドイツ式の階名の特徴として、やなど派生音にも階名が付いていることです。日本の階名ドレミファソラシと並べて見てみましょう。
日本で使われている階名(イタリア式音名) | |||||||||||||||||
ド | ド# | レ♭ | レ | レ# | ミ♭ | ミ | ファ | ファ# | ソ♭ | ソ | ソ# | ラ♭ | ラ | ラ# | シ♭ | シ | |
アメリカ式階名 | |||||||||||||||||
Do | Di | Ra | Re | Ri | Me | Mi | Fa | Fi | Se | Sol | Si | Le | La | Li | Te | Ti | |
ドイツ式階名 | |||||||||||||||||
C | Cis | Des | D | Dis | Es | E | F | Fis | Ges | G | Gis | As | A | Ais | Hes(B) | H |
このアメリカ式階名はMovable doと呼ばれる手法のようで、他にもトニック・ソルファ法やコダーイ・システムといったものもあるようです。
ただアメリカ式の階名に関しては正直なところ専門外なので、他の詳しい先生方にお聞き下さいネ。m(_ _)m
※この表を作るにあたってはこちらのサイトを参考にさせていただきました。
⇒ 視唱と移動ドでの読譜 | Onlineイヤートレーニング 〜独学で身につける相対音感〜
なおドイツ式階名に限らず、イタリアやフランスなどでは、音名と階名を明確には分けていないようで、この表でもドイツ式音名と同じ表記が並んでいます。
ということで、階名についてはわかりましたか?^^
音名と階名のまとめ
ちょっと長くなりましたので、簡単にまとめておきますね。
音名とは?
ひとつひとつの音につけられた固有の名前で、絶対的な音の高さを表すもの。音を特定するのにとても便利。
国によって表記が違うが、日本では日本式の「ハニホヘトイロ」や、ドイツ式、アメリカ・イギリス式が使われる。
階名とは?
主音の位置によって変化する相対的な音の名称であり、主音からの相対的な音の高さを表しているもの。歌ったり楽器を演奏するとき、音を読み取るのにとても便利。
日本ではイタリア式音名である「ドレミファソラシ」を階名として、固定ドもしくは移動ドで使う。
で、結局どれを使っているの?
セオリーはセオリーとして、でも実際はどうなっているか? 一般的な傾向として強引にまとめてしまおう……かと考えたのですが、やはり差し控えることにしました。
ここで一般的にはこう使われているとか、こう教えられている、こう考えられているといった傾向を示したり、また私個人の見解を混ぜてしまうのは、やはり適切ではないと思います。
音名や階名に関しては、移動ドや固定ドと共に、いろんな立場によって運用法が千差万別であり、学校音楽教育と校外音楽教育でもいろんな違いがあり、校外音楽教育でも様々なアプローチがあり得るんですね。
より良い方法を模索してながら、今なお研究と実践が行われている最中だとも言えます。
なので一般的にはこうだ、好ましいのはこうである、とまとめてしまうことによって、特に初心者の方にさらに余計な混乱を与えてしまう可能性も否定できませんし、それは本意ではありません。
よってこの記事では、ある程度網羅的に情報を記載するだけに留めておこうと思います。
さて、本日のピアノ魔法は…
(〃^∇^)ノ~エイ*・゜゜・*:.。..彡☆
ぷすぅ〜・・・
久しぶりのハズレでした〜。
もうお腹いっぱいですよね!?^^;
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いちばん親切な楽典入門
楽譜が読めるようになり、音楽の形式がわかる、いちばんやさしい楽典の本。クラシックファンはもちろん、吹奏楽部の中高生にも役立つ1冊。(新星出版社Webサイトより引用)
では みなさん!
今日も楽しいピアノライフを♪ ・∀・*)ノ
*:゜・*:.。.*.。.:*・・*:.。*・
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