ピアノの指トレ!シューマンの痛い教訓から学ぶ左右の握力をバランスよく鍛えるトレーニング法
2014-11-02 : ピアノレッスンこんにちは、FUKUON 福田音楽教室
ピアノ講師☆福田りえです。 (*^-^)/
今回はピアノのための手と指のトレーニングのお話をしたいと思いますが、まずはあのシューマンの痛〜い教訓から。
その昔...
家庭の事情で法学の道に進むことになったロベルト・シューマンは、どうしても音楽の道を諦めきれず、高名なピアノ教師に弟子入りし、猛烈にピアノの練習に明け暮れていたそうです。
しかし悲劇がシューマンを襲います。
激しい練習が祟ったのか指をひどく痛めてしまい、ピアノの演奏への道は諦めざるを得なくなってしまったのです。
その後いろんな治療法を試したようですが、もう元には戻ることはありませんでした。
それ以来「なぜシューマンは指を痛めてしまったのか?」という謎が人々の間で議論されるようになったのです。
噂では「指を鍛えるための恐ろしい機械を使ったからだ!」と言われているんですが...。
その恐ろしげな機械の正体は...記事の後半で。^^
さて、ピアノを弾く上で手や指の訓練は欠かせません。
手指の筋力が伴ってこそ、様々な楽曲を自由に弾けるようになるわけですから、ピアノのための肉体的な基礎トレーニングといえます。
しかし、やり過ぎてはいけないんですね。
トレーニングは筋力を鍛えるために欠かせませんが、同時に筋を痛めてしまうリスクも併せ持っています。
シューマンのように過度にやり過ぎてしまうと、その後の楽しいピアノ人生を閉ざしてしまうこともあるんです。
何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」、なんですね。
ところで「4番の指が高く上がるほどピアニストに向いている」と言われことがあります。
4番の指とは薬指のこと。
薬指が高く上がるほど、ピアノの演奏に適した指だというわけです。
シューマンが痛めた指は右手の4番と5番、あるいは3番と4番だといわれていますから、ピアノを断念したのも頷ける話ですよね。
ではみなさんの薬指はどれくらい上がりますか?
指というのは高く上げようと力を入れ過ぎるとピアノの音が固くなるし、逆に脱力し過ぎても音に芯がなくなります。
あまり自由に動かない指があると、そこだけ良い音が出なくなってしまいます。
ひとつひとつの音を均等に鳴らせるようにするためには、弱い指までしっかりバランスよく鍛えることが大切になってくるんですよね。
ではどうやってバランスよく、しかもやり過ぎないように手指を鍛えればいいのでしょうか?
先日うちのピアノ教室でみんなの握力を握力計を使って計測してみたところ、ある生徒さんの数値で気付いたことがありました。
小学2年生の右利きの女の子が、
右手は・・・13.5kg
左手は・・・8.2kg
という具合に、左右で握力のバランスが大きく違っていたんですね。
握力の左右差が大きいとピアノを弾くとき力が入りすぎてしまうことがありますが、この女の子の場合もいつも力が入り過ぎていたんです。
余計な力みはスムーズな演奏の妨げになりますから、まずは右と左の握力の差を埋める必要がありますよね。
と同時に、それぞれの指が独立して動くようになり、また力の弱い小指や薬指も強化できるようにトレーニングしたいところ。
そこで、本日のピアノ魔法は…
(〃^∇^)ノ~エイ*・゜゜・*:.。..彡☆
筋力トレーニングはやらなさ過ぎてもダメ、やり過ぎてもダメ。
だから毎日決まった時間に決まった量をこなすのがコツ。
先ほどの女の子とは
という約束をしました。
すると1か月後
右手・・・13.8Kg
左手・・・11.1Kg
というビックリの結果が!
彼女はちゃんと約束を守ってくれたんですよね。^^
すごい!
ただ「フィンガートレーニングしよう」というだけだと飽きてしまうので、ここは便利なトレーニング用のアイテムを使います。
12歳でデビューしたピアニスト牛田智大くんも愛用しているというのがこの「グリップマスター」。
全体的に握力を鍛えられるのはもちろん、各テンションバーが独立しているのでそれぞれの指ごとに強化することもできちゃうんですよ〜。
負荷約2.7kgの平均的なグリップ強化アイテムです。
牛田智大くんが使っていたのもこちら。
PROHANDS MUSIC VM-13102 GRIP MASTER MEDIUM
※紫色もあります。
負荷約1.8kgのライト版。
メーカーサイトによると12歳上推奨となっています。
シニアの方にもオススメです。
PROHANDS MUSIC VM-13101 GRIP MASTER LIGHT
※ピンク色もあります。
負荷約1.3kgのエクストラライト版。
小さな子に最適。(バネが見えてるのが気になりますが...)
PROHANDS GRIP MASTER Extra Light
もちろん先ほどご紹介した女の子も、このグリップマスターを使ってフィンガートレーニングしていたんですよ。
さて、過度の練習で指を痛めてしまったシューマンですが、本当にうわさ通り「指を鍛えるための恐ろしい機械」を使っていたのでしょうか?
真相は一体?
シューマン自身は日記の中に
しかし当時の師であるフリードリヒ・ヴィークが著書「ピアノと歌」の中で次のように書いています。
〜ここから引用〜
実際には師であるヴィークはその訓練器を見たことがありませんでし、そもそもそれがシューマンのことだとは名指ししていません。
しかしこの「私の意に反して発明された指の訓練器」というセンセーショナルな部分だけが人々の興味を惹きつけてしまい、うわさがひとり歩きしてしまいます。
「自ら発明したフィンガートレーニング用の機械で4番と5番の指を痛めたんだ。」
「重りで指を吊り上げるという、何やら恐ろしい機械だった。」
などなど、ドンドン尾ひれがついていきました。
シューマン死後の1889年、齢70になる妻クララ・シューマンの元へ、シューマン研究家フリードリッヒ・ニークスが真相を聞き出すために訪れます。
シューマンが指を痛めた原因を究明するんだいう使命感に燃え、息せき切って訪ねたのでしょう。
そんなニークスに対して老クララは「痛めていたのは右手の人差指」であり、原因は「硬い無音鍵盤での練習」だと率直に語りました。
しかしそれまでの通説とはまったく違っていたため、またクララが老いていたために、ニークスは信じようとはせず、従来からの「指の訓練器説」を支持したのです。
そう、うわさのひとり歩きはまだ続くことになったのでした。
そこから一気に時が下った1969年、ドイツのライプツィヒ市の資料室からひとつの書簡が偶然発見されます。
その書簡は1842年に軍隊に志願したシューマンと軍司令との間で交わされてもので、兵役の免除を伝えるものでした。
そしてそこにはシューマンの主治医であるロイター博士の署名入りで、「右手の人差指と中指の疾患のため」と書かれていたんです。
不自由な右手の人差指ではライフルを扱うことができませんから、兵役に就くことができなかったのでしょう。
この偶然発見された書簡によって、老クララが証言した「痛めていたのは右手の人差指」が裏付けられ、また「硬い無音鍵盤での練習」が原因で指を痛めたという話にも信ぴょう性が高まりました。
まさに妻の愛、ですね。^^
一方、今では「恐ろしげな指の訓練器」に代わって、なぜシューマンの師であるヴィークが「私の意に反して発明された指の訓練器」と著書の中に書いたのか?
その疑問の方に注目が集まっているみたいです。
ちなみに、シューマンの師ヴィークは、シューマンの妻クララのお父さんで、つまりシューマンの義理の父です。
ヴィークは弟子と娘の結婚を頑なに認めようしなかったので、シューマンとクララは裁判を起こしてやっとの思い出結ばれた、というお話をつけ加えておきますネ。
ま、何事もやり過ぎは禁物、というわけですね!
では みなさん!
今日も楽しいピアノライフを♪ ・∀・*)ノ
*:゜・*:.。.*.。.:*・・*:.。*・
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ピアノ講師☆福田りえです。 (*^-^)/
今回はピアノのための手と指のトレーニングのお話をしたいと思いますが、まずはあのシューマンの痛〜い教訓から。
指を痛めたシューマンの教訓〜やり過ぎは禁物!
その昔...
家庭の事情で法学の道に進むことになったロベルト・シューマンは、どうしても音楽の道を諦めきれず、高名なピアノ教師に弟子入りし、猛烈にピアノの練習に明け暮れていたそうです。
しかし悲劇がシューマンを襲います。
激しい練習が祟ったのか指をひどく痛めてしまい、ピアノの演奏への道は諦めざるを得なくなってしまったのです。
その後いろんな治療法を試したようですが、もう元には戻ることはありませんでした。
それ以来「なぜシューマンは指を痛めてしまったのか?」という謎が人々の間で議論されるようになったのです。
噂では「指を鍛えるための恐ろしい機械を使ったからだ!」と言われているんですが...。
その恐ろしげな機械の正体は...記事の後半で。^^
さて、ピアノを弾く上で手や指の訓練は欠かせません。
手指の筋力が伴ってこそ、様々な楽曲を自由に弾けるようになるわけですから、ピアノのための肉体的な基礎トレーニングといえます。
しかし、やり過ぎてはいけないんですね。
トレーニングは筋力を鍛えるために欠かせませんが、同時に筋を痛めてしまうリスクも併せ持っています。
シューマンのように過度にやり過ぎてしまうと、その後の楽しいピアノ人生を閉ざしてしまうこともあるんです。
何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」、なんですね。
ピアニストに向いている指
ところで「4番の指が高く上がるほどピアニストに向いている」と言われことがあります。
4番の指とは薬指のこと。
薬指が高く上がるほど、ピアノの演奏に適した指だというわけです。
シューマンが痛めた指は右手の4番と5番、あるいは3番と4番だといわれていますから、ピアノを断念したのも頷ける話ですよね。
ではみなさんの薬指はどれくらい上がりますか?
指というのは高く上げようと力を入れ過ぎるとピアノの音が固くなるし、逆に脱力し過ぎても音に芯がなくなります。
あまり自由に動かない指があると、そこだけ良い音が出なくなってしまいます。
ひとつひとつの音を均等に鳴らせるようにするためには、弱い指までしっかりバランスよく鍛えることが大切になってくるんですよね。
ではどうやってバランスよく、しかもやり過ぎないように手指を鍛えればいいのでしょうか?
握力と指の独立のためのバランスのよいトレーニング
先日うちのピアノ教室でみんなの握力を握力計を使って計測してみたところ、ある生徒さんの数値で気付いたことがありました。
小学2年生の右利きの女の子が、
右手は・・・13.5kg
左手は・・・8.2kg
という具合に、左右で握力のバランスが大きく違っていたんですね。
握力の左右差が大きいとピアノを弾くとき力が入りすぎてしまうことがありますが、この女の子の場合もいつも力が入り過ぎていたんです。
余計な力みはスムーズな演奏の妨げになりますから、まずは右と左の握力の差を埋める必要がありますよね。
と同時に、それぞれの指が独立して動くようになり、また力の弱い小指や薬指も強化できるようにトレーニングしたいところ。
そこで、本日のピアノ魔法は…
(〃^∇^)ノ~エイ*・゜゜・*:.。..彡☆
毎日決まったフィンガートレーニングをこなそう♪
筋力トレーニングはやらなさ過ぎてもダメ、やり過ぎてもダメ。
だから毎日決まった時間に決まった量をこなすのがコツ。
先ほどの女の子とは
- 毎日決まった時間に...
- 右手を10回、左を20回ずつ...
- お風呂に入る前と入った後の2セット行う
という約束をしました。
すると1か月後
右手・・・13.8Kg
左手・・・11.1Kg
というビックリの結果が!
彼女はちゃんと約束を守ってくれたんですよね。^^
すごい!
ただ「フィンガートレーニングしよう」というだけだと飽きてしまうので、ここは便利なトレーニング用のアイテムを使います。
楽器演奏者のためのグリップ強化アイテム〜グリップマスター
12歳でデビューしたピアニスト牛田智大くんも愛用しているというのがこの「グリップマスター」。
全体的に握力を鍛えられるのはもちろん、各テンションバーが独立しているのでそれぞれの指ごとに強化することもできちゃうんですよ〜。
グリップマスター・ミディアム
負荷約2.7kgの平均的なグリップ強化アイテムです。
牛田智大くんが使っていたのもこちら。
PROHANDS MUSIC VM-13102 GRIP MASTER MEDIUM
※紫色もあります。
グリップマスター・ライト
負荷約1.8kgのライト版。
メーカーサイトによると12歳上推奨となっています。
シニアの方にもオススメです。
PROHANDS MUSIC VM-13101 GRIP MASTER LIGHT
※ピンク色もあります。
グリップマスター・エクストラライト
負荷約1.3kgのエクストラライト版。
小さな子に最適。(バネが見えてるのが気になりますが...)
PROHANDS GRIP MASTER Extra Light
もちろん先ほどご紹介した女の子も、このグリップマスターを使ってフィンガートレーニングしていたんですよ。
意外な結末が!なぜシューマンは指を痛めてしまったのか?
さて、過度の練習で指を痛めてしまったシューマンですが、本当にうわさ通り「指を鍛えるための恐ろしい機械」を使っていたのでしょうか?
真相は一体?
シューマンの師ヴィークの証言
シューマン自身は日記の中に
テクニックの練習をしすぎて右手がだめになってしまった。とだけしか記していません。
しかし当時の師であるフリードリヒ・ヴィークが著書「ピアノと歌」の中で次のように書いています。
〜ここから引用〜
「その指の訓練器は私のある有名な弟子が私の意に反して発明し、ひそかに使っていた。そして当然のこととして、第三、第四指を痛めてしまったのである。」〜ここまで引用〜
フリードリヒ・ヴィーク「ピアノと歌」
実際には師であるヴィークはその訓練器を見たことがありませんでし、そもそもそれがシューマンのことだとは名指ししていません。
しかしこの「私の意に反して発明された指の訓練器」というセンセーショナルな部分だけが人々の興味を惹きつけてしまい、うわさがひとり歩きしてしまいます。
「自ら発明したフィンガートレーニング用の機械で4番と5番の指を痛めたんだ。」
「重りで指を吊り上げるという、何やら恐ろしい機械だった。」
などなど、ドンドン尾ひれがついていきました。
シューマンの妻クララの証言
シューマン死後の1889年、齢70になる妻クララ・シューマンの元へ、シューマン研究家フリードリッヒ・ニークスが真相を聞き出すために訪れます。
シューマンが指を痛めた原因を究明するんだいう使命感に燃え、息せき切って訪ねたのでしょう。
そんなニークスに対して老クララは「痛めていたのは右手の人差指」であり、原因は「硬い無音鍵盤での練習」だと率直に語りました。
しかしそれまでの通説とはまったく違っていたため、またクララが老いていたために、ニークスは信じようとはせず、従来からの「指の訓練器説」を支持したのです。
そう、うわさのひとり歩きはまだ続くことになったのでした。
主治医ロイター博士の署名
そこから一気に時が下った1969年、ドイツのライプツィヒ市の資料室からひとつの書簡が偶然発見されます。
その書簡は1842年に軍隊に志願したシューマンと軍司令との間で交わされてもので、兵役の免除を伝えるものでした。
そしてそこにはシューマンの主治医であるロイター博士の署名入りで、「右手の人差指と中指の疾患のため」と書かれていたんです。
不自由な右手の人差指ではライフルを扱うことができませんから、兵役に就くことができなかったのでしょう。
この偶然発見された書簡によって、老クララが証言した「痛めていたのは右手の人差指」が裏付けられ、また「硬い無音鍵盤での練習」が原因で指を痛めたという話にも信ぴょう性が高まりました。
まさに妻の愛、ですね。^^
新たな疑惑
一方、今では「恐ろしげな指の訓練器」に代わって、なぜシューマンの師であるヴィークが「私の意に反して発明された指の訓練器」と著書の中に書いたのか?
その疑問の方に注目が集まっているみたいです。
ちなみに、シューマンの師ヴィークは、シューマンの妻クララのお父さんで、つまりシューマンの義理の父です。
ヴィークは弟子と娘の結婚を頑なに認めようしなかったので、シューマンとクララは裁判を起こしてやっとの思い出結ばれた、というお話をつけ加えておきますネ。
ま、何事もやり過ぎは禁物、というわけですね!
では みなさん!
今日も楽しいピアノライフを♪ ・∀・*)ノ
*:゜・*:.。.*.。.:*・・*:.。*・
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