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ピアノ購入前に!知っておきたい世界のピアノメーカー・ブランドの格付け評価レイティング

2015-06-08 : ピアノレッスン
ピアノメーカーやブランドの格付け
世界には未だ見ぬピアノがたくさんあるんですね!
こんにちは、FUKUON 福田音楽教室
ピアノ講師☆福田りえです。 (*^-^)/


今回は米国の出版社Brookside Press社が発行している『2007-2008 Annual Supplement to THE PIANO BOOK』から、世界のピアノメーカーやブランドの格付け(レーティング)をご紹介したいと思います。


これからピアノを買われる方や購入予定のある人、特に輸入ピアノや中古ピアノを候補に考えている方は是非参考にしてみてくださいネ。



世界のピアノのレイティングの見方


1.Annual Supplement to THE PIANO BOOKについて



2007-2008 Annual Supplement to the Piano Book: Buying & Owning a New or Used Piano (Acoustic & Digital Piano Buyer)


今回参考にしたのはBrookside Press社刊、Larry Fine著、『2007-2008 Annual Supplement to THE PIANO BOOK』です。


定期的に刊行されていたのですが、現在Amazon洋書で入手できるのはこの2007-2008が最新版となり、もちろん全編英語です。^^


もっと世界のピアノについて詳しく知りたいという方は、是非お手にとってご覧ください。



2.レイティングについて


これからご紹介するピアノのレイティングは、Group1からGroup4までの4つのグループに分けられています。


これは優れたピアノから劣ったピアノまでを順に並べたランキングではなく、グループごとに「何を目指して作られているのか」という目的やターゲットが違っていることに留意してください。


例えばGroup1は、最高の品質を目指して厳格に作られている高級器で高価格帯のピアノのグループですが、Group4は広く一般に販売するための手頃な価格帯のエントリーモデルのグループとなっています。


そのため単純にGroup1が優れていてGroup4はそれより劣っているからダメ、というものではないんですね。


またそれぞれのグループは更にA,B,C、またはDといった小グループに分けられ、小グループ内での掲載はアルファベット順になっていますので序列ではありません。


当然ながらそれぞれのレイティングは、「THE PIANO BOOK」の著者であるLarry Fine氏の見解です。

Larry Fine | Wikipedia(英語)



3.補足情報について


この記事の作成に当たっては「2007-2008 Annual Supplement to THE PIANO BOOK」をベースに、国内・海外、公式・非公式を問わず、ネット情報を参照・翻訳した上で、補足情報としてごく一部をご紹介しています。


補足情報はそれぞれのピアノの音色や響き、弾き心地など、主観による影響の強いものは極力省き、ピアノメーカーやブランドの生い立ちや現状など、ある程度客観性のある情報だけに絞っています。


また世界的に有名なメーカーやブランドはおのずと情報も多く、容易に詳細を知ることができますが、そうではないメーカーやブランドについては知る機会も限られています。


その反面、アジアで生産されているエントリーモデルのピアノは生産数も多く、世界中に輸出され市場シェアも広がっていますので、購入する場面では実機に出会う確率は高いと思われます。


そのためGroup3やGroup4などの、あまり聞き慣れないアメリカやアジアのメーカー・ブランドについては、少し多目に補足情報を掲載するようにしました。


なお各ピアノメーカーやブランドに付けている国旗は、にぎやかし程度にお考えください。^^;

あと、所々謎の川平Jテイストが入っています。^^;



4.情報の正確性や正当性


この記事で参考にした「THE PIANO BOOK」は2007年〜2008年版となっていますので、現在の状況とは差異があることをご了承ください。


また補足情報につきましても、その正確性や正当性を保証するものではありませんので、もし購入をお考えの場合は、必ずご自身でしっかり調査・確認するようにしてください。



5.推奨・非推奨の意図


この記事を通じ、どれか特定のピアノメーカーやピアノブランドを、推薦したり推奨する意図は一切ありません。

同様に特定のメーカーやブランドに対して、購入を控えるように助言するような意図もありません。


ただ願わくば、ピアノの製造に日々熱意を傾けているメーカーやブランドの方々、設計・デザインした人たち、伝統を守ろうとするピアノマイスターや技師・職人さん、ピアノ新興国の大きな“うねり”など、その息吹の一端でも感じてもらえたらなぁと思います。


それではいよいよ、世界のピアノレイティング、キック・オフ、なんです!!
くぅ〜〜〜!




Group1:Highest quality performance pianos


このグループ1は、最高に優れた品質とパフォーマンスを目指して製造されているピアノメーカーやブランドのレイティングになります。

条件:
Verticals(アップライトピアノ):
$14,000 to $34,000

Grands(グランドピアノ) 5' to 7':
$40,000 to $90,000




Group 1A:


ブリュートナー / Blüthner

1853年ピアノ技師ユリウス・ブリュートナーによってドイツのライプツィヒで創業した、世界四大ピアノメーカーのひとつ。

※世界四大ピアノメーカー:スタインウェイ、ベヒシュタイン、ベーゼンドルファー、ブリュートナー。


ベーゼンドルファー / Bösendorfer

1828年ピアノ技師イグナーツ・ベーゼンドルファーによりウィーンで創業。リストの激しい演奏に耐えたことで名声を得た。

※経営難から2008年にヤマハの子会社になっています。


ファツィオリ / Fazioli

1981年音楽家で家具職人のパオロ・ファツィオリによりイタリアで創業。精巧かつ最も高額なピアノとして知られる。


シュタイングレーバー & ゼーネ / Steingraeber & Söhne

1852年創業。ドイツはバイロンに工房を構える小さなピアノメーカーだが、少量生産のピアノは非常に高い評価を得ている。


スタインウェイ・アンド・サンズ / Steinway & Sons(Hamburg)

ドイツから米国に移住したピアノ技師ヘンリー・スタインウェイにより1853年ニューヨークで創業。「神々の楽器」と呼ばれるほど。

※スタインウェイ・アンド・サンズの本社はニューヨークですが、こちら↑は生産拠点であるドイツ・ハンブルグの方です。



Group 1B:


ベヒシュタイン / Bechstein, C.(Concert series)

リストやドビュッシーから絶賛された「ピアノのストラディバリウス」。また創業の経緯からアップライトピアノも高評価。

※ベヒシュタインの数あるピアノの中から、こちら↑はコンサートシリーズ(Concert series)がレーティングされています。


アウグスト・フェアシュター / Forster, August

1859年創業の数少ないハンドメイド・ピアノメーカーで低音が魅力。オーガスト・フォスター、とかフォルスターなどとも呼ばれる。


グロトリアン / Grotrian

シューマンの妻クララが自身の演奏会に持参するほど愛したグロトリアンピアノ。「シンギングトーン」と呼ばれる歌声のような音色が特徴。


ザウター / Sauter

1819年に創設されたザウターは、現存する世界最古のピアノメーカー。オーストリアのトウヒを使った響板の明るく軽やかな音色が特徴。



Group 1C:


シゲルカワイ / Kawai, Shigeru

河合楽器製作所二代目社長の故・河合滋氏が、カワイの全てを注ぎ込んで作り上げた、グランドピアノの集大成。


スタインウェイ・アンド・サンズ / Steinway & Sons(New York)

世界最大級の総合楽器メーカーであるスタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツの中核ブランドがこのスタインウェイ。

※先程のハンブルグとは別に、ニューヨークにある本社スタインウェイ・アンド・サンズのレイティングです。


* * * * * *

さて、ここまで最上級のGroup1は、ドイツ勢の圧勝に次ぐ圧勝!
さすがガンコな職人と技術の国、ドイツ。

しかし我らがニッポン、やってくれました。
シゲルカワイ、堂々のレイティング・イン!ベスト11入りなんです!

くぅ〜〜〜!


では引き続き、Group2を見てみましょう。




Group2:High-performance pianos


このグループ2は、高いパフォーマンス性を目標に製造されているピアノメーカーやブランドのレイティングです。

条件:
Verticals(アップライトピアノ):
$6,000 to $20,000

Grands(グランドピアノ) 5' to 7':
$18,000 to $50,000




Group 2A:


エストニア / Estonia

元々音楽や楽器に深い関わりのあったエストニアのピアノ。ソ連崩壊後に米国で注目され一躍トップメーカーに。世界で唯一国名とブランド名が同じピアノ。


メイソン・アンド・ハムリン / Mason & Hamlin

1854年ボストンで創業。元々はオルガンメーカーだったが、現在ではスタインウェイに次ぐ高い評価を得ているピアノメーカー。


シンメル / Schimmel(Konzert series)

透明なクリスタルピアノでお馴染みの、ドイツ最大のピアノメーカー。普及帯価格のピアノを大規模に生産している。

※シンメルの豊富なラインナップの中でも、コンサートシリーズ(Konzert series)がレイティング・イン。



Group 2B:


ベヒシュタイン / Bechstein(Academy series)

コンサートシリーズに続き、ベヒシュタインの2つ目のレイティング・インはアカデミーシリーズ(Academy series)。


ヘスラー / Haessler

Group1Aブリュートナーのセカンドブランドがこのヘスラー。ブリュートナーと同じ工場、同じ技術者で作られる100%ドイツ製ピアノ。


シンメル / Schimmel(Classic series)

コンサートシリーズに続き、シンメルのクラシックシリーズ(Classic series)もレイティング・イン。


シュルツポールマン / Schulze Pollmann

家具職人の経験もあるシュルツとポールの2人によって創業されたピアノメーカー。響板は銘器ストラディバリウスと同じ木材を使用。


ザイラー / Seiler

1849年エドワード・ザイラーによって創業。そのピアノの品質は1872年にモスクワでの楽器品評会で金メダルを受賞したほど。


スタインベルグ / Steinberg, Wilh.

元は優秀なピアノ部品メーカーで、今もその熟練した職人の技が受け継がれている。「ブリリアントサウンド」と呼ばれる固めの音が特徴。


チャールズ R ウォルター / Walter, Charles R.

アメリカで今も生き残っている数少ないピアノメーカーの内の1社がこのチャールズ R ウォルター。それだけ品質が評価されているということ。


ヤマハ / YAMAHA("S" series)

ご存知日本の代表的ピアノメーカーYAMAHA。その豊富なラインナップの中からSシリーズがレイティング・イン。

※ヤマハのピアノにはもうひとつ上のクラスの「The CF Series」があります。



Group 2C:


ボールドウィン / Baldwin(grands)

音楽教師だったD.H.ボールドウィンによって1873年に創業。そのピアノは1900年のパリ博覧会でグランプリを受賞するほど。

※ここではボールドウィンの「grands」、つまりグランドピアノがレイティングで評価されています。


ボヘミア / Bohemia

1871年創業のチェコのピアノメーカー。1台のピアノにつき1人のマイスターが完成まで付きっ切りで作業を行うという品質重視のポリシー。


イルムラー / Irmler

Group1Aブリュートナーのプロデュースによる、コストパフォーマンスに優れたブランドがこのイルムラーピアノ。


ケンブル / Kemble

1911年創業のイギリスの名門ピアノメーカー。しかし2009年に工場は閉鎖され、市場に残っているケンブルピアノはとても貴重。

※1986年にも経営危機に陥ったそうですが、ヤマハの援助により立ち直り、それ以来ケンブルの筆頭株主はヤマハとなっていました。しかし2009年の経営難ではもはや打つ手がなく断念。アジアに工場を移管するという話もありましたが...。

ケンブルの閉鎖により、イギリスのピアノ生産は幕を閉じたそうです。



ペトロフ / Petrof

1864年チェコで創業したペトロフは、欧州最大のピアノメーカーのひとつ。伝統技法と近代技術が調和したピアノを世界中に送り出している。


フォーゲル / Vogel

ドイツ最大のピアノメーカーであるシンメルの別ブランドがこのフォーゲル。


* * * * * *

さて激戦のGroup2。
相変わらずドイツ優勢の中、各国も負けじと熱い闘いが繰り広げられているんです。

そんな中、我がニッポン、またまたやってくれました。
ヤマハSシリーズ、見事なレイティング・イン!

レインボーーーーー!!
くぅ〜〜〜!


それでは混戦のGroup3、見ていきましょう。




Group3:Better quality consumer-grade pianos


このグループ3は、品質の良い一般向け(consumer-grade)として製造されたピアノメーカーやブランドのレイティングです。

条件:
Verticals(アップライトピアノ):
$3,500 to $12,000

Grands(グランドピアノ) 5' to 7':
$9,000 to $34,000




Group 3A:


ボストン / Boston(Kawai with Steinway)

名門スタインウェイの第2ブランド。ミドルクラスの価格帯ながらスタインウェイの設計思想を受け継ぐ高品質な普及型ピアノという評価。

※ボストンピアノは河合楽器製作所でOEM生産されています。そのため「Kawai with Steinway」と表記されていますが、日本での販売はスタインウェイ・ジャパン株式会社です。


カワイ / Kawai(verticals and RX series grands)

日本の2大楽器メーカーの一つ河合楽器製作所からアップライトピアノと、普及帯のグランドピアノであるRXシリーズがレイティング・イン。

※「verticals」とは“垂直”という意味で、つまりアップライトピアノのことを表しています。


ペルツィーナ / Perzina(verticals)

映画「戦場のピアニスト」で一躍有名になったペルツィーナのアップライトピアノは、非常に珍しい独特の内部構造を持っている。

※ペルツィーナは元々ドイツの誉れ高きピアノメーカーですが、2つの大戦を経て弱体化。東ドイツ内で国営企業として細々と生きながらえていたところ、ベルリンの壁崩壊を向かえ、オランダの楽器商に買収。その後、ドイツでの生産を諦め、1998年に中国は煙台(えんたい)に工場を移し、現在は煙台ペレツィーナとなっています。

しかし他の中国製ピアノとは違い、ドイツ人技師による厳しい品質管理が施されているため良い評価を得ています。

なお映画「戦場のピアニスト」で登場したのは、ドイツ時代のアップライトピアノだそうですよ。



プレンバーガー / Pramberger, J.P.(Samick)

スタインウェイ(NY)で設計・技術マネージャーを務めたプレンバーガー氏が、同社を退社し立ち上げたピアノがこのプレンバーガーピアノ。

※ここでのレイティング・インは、型式にJPが付くいくつかのピアノが属するプラチナシリーズ(Platinum series)のことかもしれません。

プレンバーガー・ファミリーは元々19世紀初頭からオーストリアでピアノを製造していましたが、1913年にアメリカに移住し、親子3代に渡りスタインウェイ(NY)で勤務してピアノ作りに携わってきました。そして1987年、スタインウェイを退社したジョセフ・プレンバーガー氏が新たに設立したピアノメーカーがプレンバーガーです。また2004年に韓国の楽器メーカーSamick Music Corporationグループの一員となっています。

日本国内では島村楽器さんが主にアップライトピアノを取り扱っていますが、生産国はインドネシアと書かれている場合が多いようで...なかなか複雑ですね。^^;



アルバート・ウェーバー / Weber, Albert(Young Chang)

ドイツでピアノ製作を学んだアルバート・ウェーバー氏が、1852年にアメリカで設立したのがこのウェーバー。欧州諸侯に愛用者が多い。

※ウェーバーの名は1987年に韓国サムスングループに売却、そこからさらに韓国楽器メーカーであるユンチャン(Young Chang / 英昌楽器,ヨンチャンとも)に売却されています。またその後2006年、ユンチャン(Young Chang)はヒュンダイグループ(現代)に買収されています。...波瀾万丈ですね。^^;


ヤマハ / Yamaha(verticals and C series grands)

日本の2大楽器メーカーの一つヤマハからはアップライトピアノと、幅広いラインナップを誇るCシリーズがレイティング・イン。


ユンチャン / Young Chang(Platinum Edition)

韓国ヒュンダイグループのユンチャンのピアノからプラチナム・エディション。ユンチャンの生産拠点は中国・天津の工場。

※ここで出ているプラチナム・エディションがどのピアノのことなのかハッキリしませんでした。YPシリーズのことなのかな??



Group 3B:


ボールドウィン / Baldwin(verticals)

Group 2Cにもレイティングされているアメリカのピアノメーカー・ボールドウィンのアップライトピアノ。


エセックス / Essex(Young Chang/Korea with Steinway)

名門スタインウェイ第3のブランドがこのエセックスピアノ。グランドピアノは韓国ユンチャン(Young Chang)で製造。

※エセックスのグランドピアノのうちEGP-155シリーズは、中国の珠江ピアノ(Pearl River)で製造しています。


カワイ / Kawai(GM and GE series grands)

河合楽器製作所から6畳間にも置けるコンパクトなグランドピアノGMシリーズとGEシリーズがレイティング・イン。


クナーベ / Knabe, Wm.(Samick)

ドイツ人ウィリアム・クナーベが米国に渡り、1837年に創業したのがこのクナーベピアノ。人の歌声に近い「シンギングトーン」が特徴。

※クナーベはカナビ、カナビーとも。ウィリアム・クナーベも独式ではヴィルヘルム・カナビと発音します。

クナーベピアノは南北戦争以前に隆盛を極めましたが、南北戦争の影響でひどく没落し、失意でウィリアム・クナーベは引退。しかし二人の息子が奇跡的に再興を成し遂げました。

その後も紆余曲折ありで、現在は韓国の楽器メーカーSamick Music Corporationグループの一員となっています。



ウェーバー / Weber(Sovereign series)(Young Chang)

ユンチャン(Young Chang)のウェーバーピアノ(Weber)ブランドから、ソブリンシリーズ(Sovereign series)がレイティング・イン。

※ソブリンシリーズ(Sovereign series)がどのシリーズなのか同定するのは難しいのですが、型式にWSGが付くグランドピアノ、型式にWSFが付くアップライトピアノなどかもしれません。しかし同社のWebサイトには現在WSGもWSFも掲載されていません。


ヤマハ / Yamaha(GB and GC grands)

ヤマハからコンパクトサイズが特徴のGBシリーズ、GCシリーズのグランドピアノがレイティング・イン。


ユンチャン / Young Chang(Professional Artist series)

韓国ヒュンダイグループのユンチャンピアノから、プロフェッショナル・アーティスト・シリーズがレイティング・イン。

※ユンチャンのプロフェッショナル・アーティスト・シリーズとは、おそらく型式にPGが付いているグランドピアノ。ただし現在同社のWebサイトにPG型式のピアノは掲載はされていません。



Group 3C:


コーラー&キャンベル / Kohler & Campbell(Millennium series)(Samick)

コーラー&キャンベルは1896年ニューヨークで創業したピアノメーカー。グランドピアノのミレニアムシリーズがレイティング・イン。

※コーラー&キャンベルのミレニアムシリーズは、型式がKFM-850,KFM-700,KCM-650,KCM-650L,KCM-600,KCM-500のグランドピアノ。(同社Webサイトより)もしかしたら、型式の3つのアルファベットの最後の「M」がMillenniumのMなのかも。

現在のコーラー&キャンベルは韓国の楽器メーカーSamick Music Corporationグループの一員となっています。



プレンバーガー / Pramberger, J.(Samick)

韓国Samickグループのプレンバーガーピアノから「J.Pramberger」がレイティング・イン。

※同社Webサイトによると、プレンバーガーピアノのJ.Prambergerとは「Signatureシリーズ」のことのようです。しかしそのページには1台もピアノが掲載されていませんので、詳しいことはよくわかりません。^^;


* * * * * *

さて、アジア勢が猛威をふるうGroup3。
まさに混戦に次ぐ混戦模様、なんですが...。

しかし、我らがニッポン勢も負けてはいません。
ヤマハ、カワイのツートップがドリブル,ドリブル,ドリブルゥ!

そしてゴール、ゴール、ゴール、ゴォォォーーーーーーーーール!!
見事な4得点、決めてくれました!

こんなに強くていいんでしょうか...
いいんです!

くぅ〜〜〜〜〜〜!


それでは最終ステージ、混沌のGroup4を見ていきましょう。




Group4:Medium quality consumer-grade pianos


最後のグループ4は、一般向けに製造されている中品質のピアノのレイティングです。

条件:
Verticals(アップライトピアノ):
$2,500 to $7,000

Grands(グランドピアノ) 5' to 7':
$6,000 to $19,000

※Group4は4Aから4Cの4つの小グループに分かれます。




Group 4A:


ブロードマン / Brodmann

ベーゼンドルファーから独立した職人や技師たちが、2005年に新たに立ち上げたのがこのブロードマンピアノ。

※ブロードマンには中国資本が入り、低価格帯のピアノは中国で生産していると言われることが多いよう(Yichang Jinbao - 宜昌金宝楽器製造有限公司かも?)です。しかしEuropean Premium Pianosはウィーンで、Wilh.Steinberg Pianosはドイツで製造しているとする情報もあります。

かつて19世紀のウィーンで賞賛を受けた「ヨゼフ・ブロードマン オルガン・ピアノ製作所」。そこに在籍していたイグナツ・ベーゼンドルファーが独立し創業したのがご存知ベーゼンドルファー。さらにそこから独立したのがこのブロードマンピアノです。しかし19世紀のブロードマンとこのブロードマンとは直接関係はなく、また19世紀ブロードマンはすでに100年以上前に操業をやめているようです。現在のブロードマンは音響・スピーカーのメーカーとしても有名です。

ちなみに、ベーゼンドルファー売却の際にヤマハと最後まで争ったのもブロードマンピアノなんですね。



エベル カール / Ebel, Carl(Perzina)

ペルツィーナによる、1877年ドイツで創業したエベルカールブランドのピアノ。

※ドイツの名門ペルツィーナを買収したオランダの楽器商「ミュージック・ブローカーズ・インターナショナルB.V.」は、ペルツィーナの他にもヨーロッパブランドのピアノの製造権を所有していて、そのひとつがこのエベルカール。ペルツィーナブランドのピアノと同じく、中国・煙台ペツィーナで製造されているそうです。複雑ですね...^^;


ハインツマン / Heintzman

カナダへ移住したドイツ人テオドール・アウグスト・ハインツマンが、1866年トロントで創業したのがこのハインツマンピアノ。「カナダのスタインウェイ」と呼ばれたことも。

※しかしその後価格競争よって品質が落ち、何度か会社は売却・買収され、現在はカナダと中国の合弁会社「ハインツマン・ピアノ・カンパニー」となり、北京で製造されているそうです。しかし技術や品質的なつながりは薄く、中国製ピアノと言ってもよいみたいです。


メイ・ベルリン / May Berlin

1868年ドイツ・ベルリンでメイ・ベルンハルトとして創業、1920年にメイ・ベルリンとなった、かつて評価の高かったピアノブランド。

※現在はドイツ最大級のピアノメーカーであるシンメルが所有し、シンメルによりデザインされ、アジア(おそらく中国)で製造されている普及価格帯のピアノブランドとなっています。


ペルツィーナ / Perzina(grands)

Group3Aにもレイティングされているペルツィーナのグランドピアノ。同社の場合はアップライトピアノの方がグループ上位の評価。

※おそらく中国・煙台ペツィーナで製造されているでしょうね。^^;


ゲルハルト・スタインベルグ / Steinberg, Gerh.(Perzina)

ゲルハルト·スタインベルグは1902年創業のドイツのピアノメーカー。2003年、ペルツィーナにブランドを引き継いでいる。

※これもペルツィーナということで、中国・煙台ペツィーナで製造されているでしょうね。^^;

ちなみに、このゲルハルト・スタインベルグ(Steinberg, Gerh.)は、Group2Bのウィルヘルム・スタインベルグ(Steinberg, Wilh.)とは別物です。^^




Group 4B:


エベレット / Everett(grands)(Dongbei)

エベレットピアノは1883年米ボストンでヨハネ教会社によって設立されたピアノブランド。そのグランドピアノがレイティング・イン。

※紆余曲折を経て一時はヤマハがエベレットを所有していたこともあるそうですが、現在では中国・ドンベイピアノ(Dongbei / 営口東北鋼琴)が所有し、(おそらく中国で)製造しています。


ハレットデイビス / Hallet, Davis(grands)(Dongbei)

ハレットデイビスピアノは1835年米ボストンで創業したピアノブランド。あのフランツ・リストも一度パリ博覧会で弾いたという。

※そんなハレットデイビスピアノも、現在では中国・ドンベイピアノが所有し(たぶん中国で)製造しています。


ノルディスカ / Nordiska(grands)(Dongbei)

ノルディスカピアノはかつて世界で高い評価を得ていた、1926年創業のスウェーデンのピアノメーカー。

※そんなノルディスカピアノも、今では中国・ドンベイピアノが所有し(たぶん中国で)製造しています。


ストーリー&クラーク / Story & Clark(grands)(Dongbei)

ストーリー&クラークピアノは1857年米バーモント州バーリントンで創業したピアノメーカー。

※「ストーリー」とは創業者ハンプトン L.ストーリー氏、「クラーク」とは後に参加し、初のロール式自動演奏ピアノを開発したメルヴィル・クラーク氏の名前から取られています。

そんなストーリー&クラークも、今では中国・ドンベイピアノが所有し(たぶん中国で)製造しています。



ウェインバッハ / Weinbach(grands)(Dongbei/Petrof)

Group2Cのチェコの名門ペトロフ(Petrof)の低価格ブランドがこのウェインバッハ(Weinbach)ピアノ。

※ペトロフは他にもROSLER、SCHOLZEという別の低価格帯のピアノブランドを持っていて、いずれも中国で製造されていますが、このウェインバッハピアノは中国・ドンベイピアノで委託製造され、外装(キャビネット)だけはチェコで組み立てられているようです。

ペトロフの場合、ペトロフブランドのピアノだけが全てチェコで製造されているんですね。




Group 4C:


バーグマン / Bergmann(Young Chang)

残念ながらバーグマンピアノの詳細な情報を発見することができませんでした。少なくとも現在は韓国・ユンチャン所有のピアノブランド。


エセックス / Essex(Pearl River or Young Chang/China with Steinway)

スタインウェイ第3のブランドですが、こちらは中国・パールリバー(Pearl River / 珠江ピアノ)、もしくはユンチャンの中国工場製。


ハイルン / Hailum

ハイルンピアノ(寧波海倫楽器,海倫鋼琴)は1986年中国・寧波で創業したピアノ部品メーカーで、後にピアノ製造にも進出。

※ピアノ部品メーカーだったハイルンのオーナー夫妻と、オーストリアのピアノメーカー「ウェンドル&ラング(Wendl & Lung)」の4代目オーナーであり、最年少ピアノマイスターでもあるペーター・ヴェレツキ(Peter Veletzky)氏が出会い、お互いにパートナーシップを結ぶことで、ハイルンのピアノ製造が大きく飛躍したそうです。
またウェンドル&ラング社はすでにウィーンでの製造を終えていたので、ウェンドル&ラングブランドのピアノはハイルンに引き継がれ、同社により製造されているそうです。



コーラー&キャンベル / Kohler & Campbell(except Millennium series)(Samick)

Group3Cで出た韓国Samick傘下のコーラー&キャンベルの、ミレニアムシリーズ以外のピアノがレイティング・イン。

※「except」は"除く"という意味。


ヘンリー F.ミラー / Miller, Henry F.(Pearl River)

1863年米国ボストンで音楽家ヘンリー F.ミラーとJ.H.ギブソンによって創業され、ヘンリーの5人の息子たちにより成功したピアノメーカー。

※当初は息子たちによって事業が成功したため「Henry F. Miller & Sons Piano Co.」と名乗っていたようです。

現在は中国パールリバー(Pearl River / 珠江ピアノ)によって製造されているようですが、Webサイトによると広州の工場(factory in Guangzhou)となっています。



パラティーノ / Palatino(AXL)

中国・上海に工場を持つパラティーノは、2000年からピアノ製造をはじめた、比較的若いピアノブランド。

※パラティーノという語感から、また「ROMA」や「MILANO」「TORINO」といったピアノの名前から、イタリアのメーカーをイメージするかもしれませんが、純粋な中国のピアノブランドで、ピアノ製造の前からも弦楽器の製造を行っていたそうです。

またAXLというのは、上海に本拠地を置く様々な楽器や音響機器を取り扱う大きな会社で、パラティーノはピアノやヴァイオリンなど一般的な楽器を扱うブランドのようです。



パールリバー / Pearl River 珠江ピアノ

1950年代に中国南部の珠江(しゅこう)で創業したのがこのパールリバー。中国国内のピアノ販売ではトップシェアを誇る。

※中国国内だけでなくヨーロッパで15%、アメリカで18%ものシェアを持つ、世界有数のピアノメーカーへと成長している同社は、「Pearl River」と「Ritmuller」のオリジナルブランドのほかに、「ヘンリー F.ミラー(Henry F. Miller)」や「エセックス (Essex)」といった米国ブランドのピアノもOEM生産しています。


レミントン / Remington(Samick)

1872年米国インディアナ州リッチモンドに設立されスターピアノ社(Starr Piano)の、普及価格帯のブランドがこのレミントンピアノ。

※他にもいくつかのブランドを抱えていたスターピアノ社は、大恐慌を生き延び1950年代まで操業していたようですが、その後は不明。現在レミントンブランドのピアノは韓国・Samickグループの一員となって...いるという情報なのですが、SamickのWebサイトにはレミントンの文字は見当たりません。


リットミュラー / Ritmüller(Pearl River)

1795年ドイツで設立された、当時最高級ブランドがこのリットミュラーピアノ。

※...と言いたいところですが、現在は中国・パールリバー(Pearl River)の所有ブランドとなり、ベヒシュタインでも活躍されたピアノデザイナーのロザ・トーマ氏の元、新たに設計されているようで、往時のリットミュラーとは別物と考えた方がいいと思います。


サムイック / Samick 三益楽器

サムイック(Samick Music Corporation)は1958年に設立された韓国の総合楽器メーカー。

※現在のサムイックは米国テネシー州ギャラティンに本社を移し、韓国、インドネシア、中国、米国に工場を持っています。また自社ブランドだけでなく、プレンバーガー(Pramberger)、クナーベ(Knabe, Wm.)、コーラー&キャンベル(Kohler & Campbell)など、海外のピアノブランドも所有し製造しています。


Steigerman(Premium series)(Hailun)

1960年ドイツで創業したピアノメーカー「Steigerman」のプレミアムシリーズ。

※「Steigerman」についてはあまり詳しい情報は得られませんでした。いずれにしても現在は中国ハイルン(Hailum)により所有され製造されていると思われます。(しかし同社WebサイトでSteigermanの表記を見つけることは出来ませんでした。「Steigerman」の商標はカナダの販売会社が所有しているため使用できないのかもしれません。)


ウェーバー / Weber(Legend series)(Young Chang)

韓国ユンチャン所有のウェーバーブランドのピアノから、手頃な価格帯のレジェンドシリーズ。

※型式がWLGではじまるグランドピアノと一部のアップライトピアノがレジェンドシリーズのようです。



Group 4D:


ホバート M.ケーブル / Cable, Hobart M.(Sejung)

ホバート M.ケーブルは1900年米国インディアナ州ラポートで設立されたピアノメーカー。

※ホバート M.ケーブルの母体は、1880年ハーマンD.ケーブルによって設立されたシカゴ最大のピアノ製造会社であり、後にアメリカのピアノ業界に大きな貢献を果たしたケーブルピアノ会社(ケーブルは人名です)。つまりどちらもケーブル兄弟によるピアノメーカーなんですね。

ホバート M.ケーブルはうつ病になる1960年代までピアノを作り続けましたが、そのブランドは1990年代にSejungによって買い取れられ、中国青島の工場で製造されるようになりました。

※Sejung(セジュン)は1974年に設立された韓国の企業で、2001年に中国山東省青島(チンタオ)に青島Sejung楽器(世宗楽器)を設立(?)し、ユンチャンやサムイックのスタッフを雇い入れてピアノや楽器の製造をはじめました。

Sejung楽器はホバート M.ケーブル以外にも多くの海外(主に米国の)ピアノブランドを所有していましたが、2012年に中国のメジャーピアノメーカーであるパーソンミュージック(柏斯琴行)に買収され、海外ブランドのピアノの製造は終了したそうです。



クリストフォリ / Cristofori(Sejung)

元々オーパスIIという名の、米国小売業Jordan Kitt's MusicとSchmitt Musicの共同ブランド。そのひとつがこのクリストフォリピアノ。

※オーパスIIのもう一方のブランドはリリカピアノ。現在Jordan Kitt's MusicとSchmitt Musicの提携は終了し、クリストフォリピアノはJordan Kitt's Musicで、もう一方のリリカピアノはSchmitt Musicが取り扱っています。

ちなみにクリストフォリとは、ピアノを発明したイタリア人技師バルトロメオ・クリストフォリのことですね。

クリストフォリピアノは中国・青島Sejungで製造されていたようですが、現在は中国・パールリバー(Pearl River)で製造されているそうです。



エベレット / Everett(verticals)(Dongbei)

中国・ドンベイピアノによる、米国エベレットブランドのアップライトピアノ。


ファルコーネ / Falcone(Sejung)

伊シチリアから米国へ14歳で移住してきたサンティ・ファルコーネが、1980年代にボストンで立ち上げたピアノブランド。

※ファルコーネブランドはその後Sejungにより買収され、中国・青島で製造されていたと思われます。


ガルブランセン / Gulbransen(Sejung)

1904年米シカゴでアクセル・ガルブランセンによって設立されたピアノ・オルガンメーカー。アップライトは珍しいドロップアクション式。

※1950年代から所有者がコロコロ変わっていき、2003年に米国QRSミュージック·テクノロジーズに買収され、韓国サムイック (Samick)によって製造されていました。その流れで後にSejungによって製造されるようになったのかもしれません。Webサイトのコピーライトによると、ガルブランセンは現在でもQRSミュージック・テクノロジーズが所有しているようです。


ハレットデイビス / Hallet, Davis(verticals)(Dongbei)

中国・ドンベイピアノによるハレットデイビスのアップライトピアノ。


ハミルトン / Hamilton(Sejung/Baldwin)

ハミルトンピアノは米国ボールドウィンの一部として1889年に設立されて以来、低価格帯のピアノブランドとして存在しています。

※ハミルトンという名は、ボールドウィンの創業者であるドワイト・ハミルトン・ボールドウィンのミドルネームですね。低価格帯ピアノということで、中国・青島Sejungで製造されていたと思われます。

現在、ボールドウィンとハミルトンのブランド名は、米国ギブソンギター社が所有しているそうです。



ハードマンペック / Hardman, Peck(Beijing)

1842年ヒュー・ハードマンによってニューヨークに設立され、1880年に参加した技師レオポルド・ペックの名を持つピアノメーカー。

※当初は「ハードマン・ピアノ・カンパニー」、レオポルド・ペック参加後の1890年に「ハードマン・ペック&カンパニー」と社名変更し、優れた評価を得て成功していきます。しかし大恐慌時代、自動演奏ピアノで有名な大手ピアノメーカー「エオリアン・カンパニー」に買収され、1985年にエオリアンが破産するまでの間、その傘下でピアノ製造が続けられていました。

1990年代に入るとハードマン・ペックは「ノース・アメリカン・ミュージック社」に買い取られ、中国最大の楽器メーカーのひとつであるBeiijingによって製造されるようになります。

この時期Beiijingは、河合楽器製作所とアジアでのKAWAIブランドのピアノの製造と販売の長期契約を結んでいたため、カワイの技術流入により、ハードマン・ペックのピアノ製造品質の向上に役立ったと言われています。またそれ以降のハードマン・ペックのピアノはカワイによるデザインとなり、河合楽器製作所にとってもハードマン・ペックの技術を知る利点となったそうです。

Beiijingと河合楽器製作所との約20年に渡る契約は2014年1月に終了したそうですが、Beiijingは現在もハードマン・ペックのピアノを製造し続けているようです。



※Beiijing:
英:Beiijing HsingHai Musical Instruments Corporation
中:北京星海钢琴集团有限公司(北京星海楽器株式会社)
(Beiijing=北京、HsingHai=星海:中国で最も有名な作曲家から)

1949年に設立された北京に所在する、ピアノやアコーディオンなどの西洋楽器から、中国伝統楽器まで幅広く扱う、中国最大級の楽器メーカー。北京に複数の製造工場を持っているそうです。



オットー・マイスター / Meister, Otto(Beijing)

1990年代まだ設備が古かった中国・Beiijingの工場を近代化させた功労者、ドイツ人ピアノ技師ローター・シェル氏がデザインしたブランド。

※オットー・マイスターのオットー(Otto)とは、古いドイツ語で財産を意味しています。これはピアノマイスターとしてのローター・シェル氏の類まれな知識や経験に敬意を払って付けられたそうです。

元々ローター・シェル氏はドイツの古いピアノメーカーIbach and Sonで働く若い技師だったのですが、提携先である南アフリカ・ウェリントンのDietmannピアノ社に3年間出向し、同社を成功させて帰国する際、同社の工場を維持するためにコンサルティング会社を立ち上げます。たくさんのピアノメーカーが顧客となりましたが、その中には中国のピアノメーカーもありました。

1988年、北京を訪れたローター・シェル氏は、日本人コンサルタント(たぶんカワイの人?)の紹介で、Beijingの近代化と国際競争力の強化に携わることになり、苦労の末、Beijingの工場は飛躍的に生産台数を伸ばし(年間4000台→13,000台)、その内の40%はローター・シェル氏がデザイン設計した新しいピアノ(オットー・マイスター?)だったようです。

引退し南ア・ウェリントンに戻ったローター・シェル氏ですが、北京名誉市民権を与えられ、また今でもBeijingの名誉顧問なんだそうです。



ノルディスカ / Nordiska(verticals)(Dongbei)

中国・ドンベイピアノによる、スウェーデンのノルディスカブランドのアップライトピアノ。


ジョージ・シュテック / Steck, Geo.(Sejung)

ドイツ人ピアノマイスターであるジョージ・シュテック(George Steck)によって、1857年(1873年?)米ニューヨークで設立されたピアノメーカー。

※あの発明王エジソンも愛したというジョージ・シュテックのピアノですが、その後Sejungに買収され、中国・青島Sejungで製造されていたと思われます。


Steigerman(Beijing)

(おそらく)同じ中国のHailunが所有し製造していた独Steigermanのプレミアムシリーズ以外のBeijing製ピアノ。


ストーリー&クラーク / Story & Clark(verticals)(Dongbei)

中国・ドンベイピアノによる、米国ストーリー&クラークブランドのアップライトピアノ。


スズキ / Suzuki(Artfield)

(おそらく)中国・Artfieldで製造されている日本の教育楽器メーカー鈴木楽器製作所のアップライトとグランドピアノ。

※鈴木楽器製作所:
鍵盤ハーモニカ「メロディオン」でお馴染み、昭和28年創立の教育・教材楽器メーカーで本社は浜松。貿易を担当するのはSuzuki Corporationで、上海に子会社Suzuki Musical Instがある。

※SUZUKI PIANO
Webサイトによると「日本浜松で設立(Founded in Hamamatsu, Japan, )」とあり、オンライン(suzukipianos.com)とコストコ、そしてディーラー通じてのみピアノを販売している。コピーライトはSuzuki Corporation。ロゴマークも鈴木楽器製作所と同じ。

※Artfield:アートフィールド・ピアノ社
Shanghai Artfield Piano Co., Ltd.
香港に本部を置き上海に工場を持つ、1993年に設立されたピアノ製造メーカー。



ヴィヴァーチェ / Vivace(Sejung)

ヴィヴァーチェピアノはSejungによる低価格帯のピアノブランド。

※ヴィヴァーチェがSejungオリジナルブランドなのか、それとも買収したブランドか、または委託製造なのかは、情報不足により不明です。


ウーリッツァー / Wurlitzer(Sejung/Baldwin)

ドイツから米国へ移住してきたルドルフ・ウーリッツァーにより、1856年オハイオ州シンシナティで設立された楽器メーカー。

※ウーリッツァーはピアノよりも、エレクトリックピアノ(電気ピアノ)やジュークボックスによって知られ、エレクトリックピアノはクイーンやカーペンターズなど有名アーティストによってステージ上で愛用されました。

その後ジュークボックスをドイツの会社に売却した後、ウーリッツァーはボールドウィンによって買収され、さらにギブソンギター社によりボールドウィンが子会社にされると、ドイツからジュークボックスも買い戻されました。そのためボールドウィンによるウーリッツァーブランドのピアノは停止され、ジュークボックスのブランドとしてウーリッツァーの名前は使われているそうです。

おそらくボールドウィン配下にあった一時期、中国・青島Sejungでウーリッツァーブランドのピアノが製造されていたのかもしれません。



ワイマン / Wyman(Beijing)

米ボールドウィンの元幹部が新たに設立したのがこのワイマンピアノ社。設計はドイツ規格、製造は中国・Beijingの工場。


* * * * * *

ムムッ!
混沌のGroup4、まさにチャイニーズパワーがこれでもかと炸裂、していたわけなんですが...

しかし!そんな中にあって我がニッポン、やっぱりやってくれました。
スズキピアノ、なんと終盤怒涛のゴーーーーーーーール!

思いがけない角度から1点ゲット、なんです!
くぅ〜〜〜〜〜〜!

それではスタジオにマイクをお返しします、久米さーーーん!




世界には未だ見ぬ強豪、いや、ピアノメーカーやブランドが、あるんです!


いかがでしたでしょうか?

今回は『THE PIANO BOOK 2007-2008』に掲載されていたピアノを、そのレイティングに沿ってご紹介してきたんですが、実は世界には未だ見ぬメーカーやブランドがたくさんあるんですよね。


「輸入 ピアノ」なんて検索すると、聞いたことのないピアノがまだまだ出てきます。^^


これを機に、世界のピアノ製造史に触れてみるのも面白いかもしれませんよ〜。


【関連書籍】

ピアノの歴史
日本でもっとも普及している楽器、ピアノ。この楽器の来歴と、その発明者、演奏者や作曲家、批評家などクラシックからモダン・ジャズまで、ピアノにまつわるすべてを描いた決定版!(河出書房新社Webサイトより引用)


ではそろそろ、このブログの文字数制限に引っかかりそうなので、この記事を終わりにします。


さぁ みなさん!
今日も楽しいピアノライフを♪ ・∀・*)ノ
*:゜・*:.。.*.。.:*・・*:.。*・

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コメント
1読者です。時々(毎回でなくでごめんなさい)ですが拝見させていただいています。ずっと思っている疑問があります。ヴィンテージものが好きで、昨年の暮れグロトリアン(1924年製)を購入しオーバーホールしてもらっている最中ですが、youtubeで同時代の音色を確かめていますが、ヨーロッパで販売されているものは音が素晴らしいです。同じメーカーでも日本にあるものはそれほどとは思えないものもあります。
 邪推かもしれませんが最良品はヨーロッパへ、そうでないものは当時の後進国(日本など)に輸出されていたのではと。そんなことはないと思いたいのですが。
  • 江口 博明
  • 2017/06/09 3:23 PM
江口 博明さま、コメントいただきありがとうございます。

1924年製のグロトリアンは楽しみですね!
もうオーバーホールされて届かれましたか?

YouTubeでの音の確認は、難しいものがあるかと考えられます。

と言いますのも、
1)演奏されている楽器の置かれた場所が一定でないこと。

2)録音機材・・・マイク

3)録音された媒体・・・オープンリール、DAT、カセットテープ、他

4)その後の音処理・・・ミキシング、リバーブを付加など

5)YouTubeへアップロード時の圧縮方法

など、様々な要因で音が変質したり、逆に良くなることも考えられるためです。

自分の耳で実際の音を確かめるのが一番ですが、当時の音は聴くことが不可能なものもありますので、難しいですよね。

とにかく、現代に蘇ったグロトリアンの音は、きっと素敵な音が鳴っているのでしょうね。また音色のこと、お聞かせくださいね♪

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