• 【連載開始!】障がいを持つ子どものためのピアノレッスン - ムジカノーヴァ2017年1月号

それってあり?ピアノの可能性が広がる特殊奏法と指から血がしたたる練習の正体とは?

2015-07-05 : ピアノレッスン
ピアノの可能性が広がる特殊奏法
ピアノの練習で指から血が出たことありますか?
私は……あります。^^;
こんにちは、FUKUON 福田音楽教室
ピアノ講師☆福田りえです。 (*^-^)/


いきなりですが、今を遡ることЭ※◇Θ年前、私が大阪音楽大学の入学試験のピアノ実技で選択した曲は、フランツ・リストの『ハンガリー狂詩曲 第10番』でした。^^;


生来の練習嫌いで怠け者の私も、このときばかりは真剣にピアノに向き合い、死ぬ気で練習に励んだものです。

そう、指から血を流すほどに。


ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、原因は『ハンガリー狂詩曲 第10番』の中に出てくる、ある特殊奏法だったんですが...。




特殊奏法って何?


ピアノの弦とハンマーの写真

特殊奏法というのは、それぞれの楽器が最初に設計されたときに想定されていた演奏方法とは異なる奏法のこと。


「この楽器はこうやって弾くためのものです。」という、昔それを設計した人が考えていた方法とは違う方法で演奏することですね。


「びえぇ〜!そんなふうに弾くなんて、こちとら想定して作ってないよ〜。(汗)」っていう、設計者の悲鳴が聞こえてきそうです。^^;




では誰が特殊奏法を考え出したのかというと、それは新しい音色を追い求める作曲家たちによってでした。


古典的なクラシック音楽の作曲家たちも、古くから様々な特殊奏法を作り出してきましたが、それらやがて一般的な演奏法となっていったものもあります。


20世紀以降、特に前衛音楽や現代音楽の流れの中で、従来の音楽とは異なる音楽性を模索する風潮が強まり、同時にさまざま特殊奏法が新しく生み出されていったそうです。


中でもアメリカの作曲家ジョン・ケージ(John Milton Cage Jr. 1912〜1992)は有名。


音楽家であり思想家、詩人、そしてキノコ研究家(!!)でもあったケージは、グランドピアノの弦にゴムや金属、木片などを置いたり挟んだりして、従来のピアノとは違う音楽性を追求しました。


ケージが発明したこのピアノを「プリペアド・ピアノ」といいますが、プリペアド(prepared)とは「準備した,用意した」という意味です。


つまり特殊な演奏のために、あらかじめ細工を仕込んで用意しておいたピアノ、ということですね。


またケージは『4分33秒』という、3楽章からなる4分33秒の間無音が続く楽曲を作ったことでも知られています。

な、なんというか、う〜ん。^^;




そんな特殊奏法は西洋楽器や邦楽器などいろんな楽器にあるんですが、もちろんピアノにたくさんもあり、受験生だった私が指から血を流した原因もそのひとつ、というわけなんです。




鍵盤上で指を滑らせながら血を流すピアノの特殊奏法とは!?


ピアノを激しく弾いている写真

さて、私が受験で弾いたリストの『ハンガリー狂詩曲 第10番』の後半には、ある特殊奏法が多く書かれているんですが、下の動画の4分頃からそれがはじまります。


Liszt - Hungarian Rhapsody No. 10 - Hamelin
※再生すると4:00から始まるようになっています。^^
ガラケーの方はコチラ⇒ ※ここに動画へのリンク※

お分かりいただけましたか?
鍵盤の上を指を滑らせながら弾く、これをグリッサンドといいます。


このブログでも以前一度「ポルタメントとポルタートの違い」という記事の中で、ポルタメントと似ている演奏法としてグリッサンドをご紹介しました。

グリッサンド
▲楽譜上のグリッサンド


グリッサンド、何だか美味しそうな甘栗のサンドイッチみたいですね。甘栗っサンド・・・な〜んて。^^


受験生だった私はこのグリッサンドの練習をやり過ぎて、指の第一関節の辺りや、指と爪の間から血が出てしまったんですよね。


もちろんドバドバドクドクというわけではありませんが、地味に痛かったです、はい。^^;




結構たくさんあるよ、ピアノの特殊奏法!


立派なピアノの写真

今日グリッサンドは広く用いられるピアノの演奏法となっていますので、ことさら特殊奏法と言っていいのかどうかは微妙ですが、他にもピアノの特殊奏法を見ていくことにしましょう。


クラスター奏法


クラスター奏法というのは、演奏者が手や腕、肘などを使って、ピアノの複数の鍵盤を同時に鳴らす奏法をいいます。


よく小さい子どもたちがデタラメ弾きをしていて、気分がノってきたら肘や腕でピアノをバーン!バーン!と弾いていますが、クラスター奏法は一見するとこれにちょっと似ているかもしれません。

(でも、ピアノが痛むのでやめてほしいですが。^^;)


実はクラスターという特殊奏法は、ただデタラメにバーン!と弾くわけではなく、音楽的な概念をともなった演奏法として誕生したんですよ。


考案したのはヘンリー・カウエル(Henry Cowell, 1897〜1965)というアメリカの作曲家で、先にご紹介したジョン・ケージの師匠でもあります。


昔からたくさんの音を同時に鳴らすという演奏法はあったのですが、カウエルはクラスターを2度の和音の集合と考え、トーン・クラスターという概念を生み出しました。


トーン・クラスターは、ある音名から別の音名までの全ての音を同時に発する房状和音のことをいいます。


ヘンリー・カウエル - The Tides of Manaunaun (1917)
ガラケーの方はコチラ⇒ https://youtu.be/mb4LIN35tfc

上記の動画のように、効果的にクラスター奏法が用いられているのがわかると思います。


カウエル以降もクラスター奏法は発展を続け、クラスターのみの作品や、クラスターとグリッサンドを合わせた曲なども作られています。


ただし他の特殊奏法と同じく、クラスター奏法はピアノを傷めてしまう可能性があり、特に日本国内のコンサートホールでは禁止している場所が多いようです。


また作曲コンクールなどでも、このクラスター奏法は使用禁止になっている場合があります。


それだけピアノに負担がかかるということですね。



「え!」っと思うような特殊奏法


グリッサンドやクラスター奏法は、割りと音楽的な考え方に則ったピアノの奏法のように思えるかもしれませんが、中には「え!それってアリなの?」と首を傾げたくなるような奏法(?)もあるんですよね。


例えば

  • ピアノの外側やフタを叩いたり
  • 弦に定規を乗せたり
  • 洗濯バサミで弦を挟んだり
  • ペダルを瞬間的にガッと踏み込んだり
  • 音を出さないで鍵盤を爪でグリッサンドしたり
  • 調律を変えてみたり
  • 釘を鍵盤に打ち付けたり(ひどい!!)
  • その他いろいろ...

白鍵と黒鍵、それにペダルを使って弾くという、ピアノの一般的な弾き方を逸脱しているように思えますよね。


「ふざけてるんでしょ?」って思われる方もいるかもしれませんが、これもまたピアノの奏法のひとつの形であり、またそうなっているのには理由があるんです。



作音楽器とピアノの限界


ギターやヴァイオリンなどの弦楽器、クラリネットやトランペットなどの管楽器は、弾いたり吹いたりしただけでは正確な音が出ず、自分で音を作らないといけない作音楽器(さくおんがっき)と呼ばれます。


私も持っていましたが、クラリネットなどは“まともな音”を出すまで本当に苦労しますよね〜。鍛錬が必要です。^^;


それに対してピアノは、どれか鍵盤を叩けばそれだけで正確な音を出すことができますよね。調律が狂ってない限り、誰が叩いても「ド」は「ド」の音を出してくれます。


これは見方を変えると、自分で音を作らないといけない作音楽器は、それだけ多くの可能性を秘めていると言えますし、ピアノは決まった音しか出ないとも言えます。


この便利だけど音作りに限界があるピアノの特性に対して、その限界を何とか乗り越えようとする試みが、上記のような一見「えっ!」と思うような特殊奏法につながっているんですね。


さらにその試みは、ピアノの内部にも向かっていきます。



内部演奏


  • ピアノの弦を指や爪、打楽器の撥(バチ)、ヴァイオリンの弓、ガラス、金属で弾いたり、叩いたり、こすったり、引っ掻いたりする
  • 弦以外の部分を弾いたり、叩いたりする
  • 弦の上に刷毛や紙、定規などを乗せて鍵盤を弾く
  • 弦と弦の間にネジやピンを挟んで鍵盤を弾く

主にグランドピアノの内部にある弦やその他のパーツに対して、何らかの形で直接触れたり、また異物を設置したり細工をすることで、従来のピアノの音とは違う音色を出そうとする試みです。


これらにペダルやグリッサンドなどを組み合わせることもあります。


確かに弦に対して通常とは違うことを行えば、当然違う音が出ると想像できますので、何となく分かる気もしないではありません。^^


しかしもっと奇妙なものもあります。

  • 弦に向かって大声で叫んだり、金管楽器の強い音を響かせる
  • 蓋を外した2台のピアノを並べて卓球をする

た、たぶん、弦の反響を楽しむんだと思いますよ、きっと。^^;



とまぁ、ひと口にピアノの特殊奏法といっても実際いろいろあるのですが、奇をてらったり、前衛的になり過ぎないような使い方もあります。

例えばコチラの動画。

One Direction - What Makes You Beautiful (5 Piano Guys, 1 piano) - ThePianoGuys
ガラケーの方はコチラ⇒ https://youtu.be/0VqTwnAuHws
弦を弾くといい音しますよね。
鍵盤の蓋やグリッサンドも使っていて、お見事です。^^


【関連書籍】


さて、ピアノの可能性を広げる特殊奏法ですが、日本国内の多くのコンサートホールでは禁止されていますからね。(ヨーロッパは緩いみたいですが。)

くれぐれもお忘れなきよう。



では みなさん!
今日も楽しいピアノライフを♪ ・∀・*)ノ
*:゜・*:.。.*.。.:*・・*:.。*・

【関連記事】
この記事を読んでいる人にオススメ!

  • もっと楽しく♪動画でピアノレッスン
  • 人気記事ランキングTOP20
もっとピアノが大好きになっちゃう無料メルマガ
『人生を楽しくする☆魔法のピアノレッスン♪』

読者購読規約powered by まぐまぐ!
| /PAGES |
  • 保育士試験ピアノ実技と筆記まとめ
  • 【まとめ】ピアノコンクールの参考になりそうな関連記事をまとめました
  • 【まとめ】譜読みの上達に参考になりそうな関連記事をまとめてみました
コメント
コメントする






   

スマホ版を表示
Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...