ピアノの寿命 〜 大切なピアノと末永く一緒に過ごすために知っておきたいいくつかのこと
2011-04-25 : ピアノレッスンこんにちは、FUKUON 福田音楽教室
ピアノ講師☆福田りえです。 (*^-^)/
前回はピアノを買うときのお話しを書きましたが、今回は「ピアノの寿命」についてのお話しです。
では早速いってみましょう!

よくペットは飼い主に似てくる、なーんて言われることがありますよね。あるいは反対に、飼い主の方がペットに似てくるとも。
また、元々赤の他人である夫婦でも、一緒に暮らしている内にだんだんと似てくる、なんてこともあります。
お互い長い時間を共に過ごすことで、見た目や行動、癖、好みなど、知らず知らず似てくるのでしょうか。
実はピアノも同じようなことが言えるんですよ。
中古ピアノを探しに楽器屋さんに行くと、いろんなピアノを試弾することになりますが、その響きやタッチに以前の持ち主の面影が残っていることがあります。
たとえば
など、以前使っていた人の弾き方の傾向や偏りが表れているんですね。
もちろんしっかり調律済みで展示されているピアノには、その面影も影を潜めてしまうんですが、中には前のご主人さまを恋しく思っているピアノもあるような気がします。^^
よく弾いてくれるご主人さまと長い年月を共にしたピアノは、そのご主人さまの影響を受けて似てくる、というか、ご主人さま好みのピアノになっていくんですね。
苦楽を共にし、喜びも悲しみも分かち合う、それがパートナーとしてのピアノの御役目、なのかもしれません。
しかし、そんな愛おしいピアノとも永遠の別れがくるとしたら...。

それではピアノの寿命って何年くらいなのでしょうか?
いや、そもそも寿命が来るとは、ピアノにとってどういう状態を言うのでしょうか?
元々ピアノというのは耐久年数の長〜い楽器ですから、ちょっとそっと使ったくらいでは「あ、壊れちゃった!」っていうことは、ほとんどないと思います。
頑丈そうな外見、してますもんね。^^
また弦やハンマーなどの消耗品は、余程のビンテージピアノでもない限り交換ができますから、費用がかかるとはいえ、あまり心配する必要はないでしょう。
ただし、ピアノの心臓部である「響板」、そこが痛むとその修理や交換はちょっと厄介です。
まず響板を外すには、弦やハンマー、フレームなど多くの部品を取り外さないといけないので、とても大掛かりな作業、オーバーホールが必要となります。
またピアノによってはこの響板の取り替えが、ビックリするくらい高額になってしまうことも。
ピアノの音色を支えている響板は、ピアノの個性や特徴そのものですから、昔から最高の素材と技術が注ぎ込まれてきた最重要パーツ。
交換する新たな響板も、それなりのものが必要となりますよね。
つまりこの響板の交換が発生すると修理費用がかさみ、新品のピアノが買えるくらいのお値段になることも起こるんです。
(響板を取り替えるくらいの大掛かりな作業なので、同時に弦やハンマーなど他の部品も入れ替えることが多いそうで、余計におサイフにダメージがぁ...。)
そういった意味でピアノの寿命というのは、高額の修理費が負担となって仕方がなく手放すとき、と言えるかもしれません。
ご主人さまの懐次第、というわけですね。

ピアノは決して安い買い物ではありませんし、出来るだけ長く付き合っていきたいパートナーでもあります。
できればピアノの心臓部である響板にダメージを与えることなく、大切に使い続けていきたいところですよね。
では一体何が響板にダメージを与えるのでしょうか?
ピアノの響板には絶えず弦による圧力、弦圧がかかっているそうです。
通常、ギターやヴァイオリンなどの弦楽器は、使わないときには弦を緩めることができますが、ピアノの弦は緩めることがありませんから、常に弦圧がかかった状態なのです。
そして弾き方や弾く人によって、弦圧による響板への影響は変わってきます。
それぞれ響板に与える負荷は違ってきますよね。
特に毎日長時間に渡ってガンガン弾きまくるピアノの場合は、響板への影響も大きく、痛みの要因にはなりそうです。
コンサートホールのピアノは、5〜8年くらいでダメになってしまうと聞きますし、音大生などがガンガン弾きまくっていると、10〜15年と短くなってしまったり。
ただ、しっかりと作ってあるピアノの響板は耐久性も考えられているので、余程低価格のピアノか、尋常じゃなほど激しく弾きまくらない限り痛む心配はないでしょう。
※そういう意味でも、純ドイツ製のピアノというのは優れているんでしょうね。^^
一般のご家庭で、常識的な弾き方をしている限りは大丈夫。むしろ次の要因の方が、大きな問題になりそうです。
一般の家庭にピアノを設置する場合、その置かれている環境による影響というのは思っているよりも大きいようです。
コンサートホールなど、ピアノを弾くために作られた場所では、常にピアノにとって最適な環境が維持されています。
まあ、置いてあるピアノ自体がとても高価なので当然ですが。^^;
しかし一般の家屋は、そもそも人が住むために作られているのであって、少なくともピアノを置くことを大前提にしているというわけではありません。
最近の住宅ではピアノを置くかもしれない場所の床に、あらかじめ補強を入れておくこともありますが、じゃその他の環境面はどうかというと、う〜む、です。
特にピアノに影響を与える環境要因は、
などがありますが、室温や湿度を常に一定に保ち、ピアノに最適な環境をキープし続けるのは、なかなか難しいですよね。
ただでさえ日本の夏は湿気が多く、冬も寒くて乾燥しやすい上に、エアコンや暖房機器による温度・湿度の振れ幅が大きくなります。
木材で作られているピアノは湿気や乾燥にとても敏感、心臓部である響板(もちろん木材)もダメージを受けることになるんです。
湿気を吸っては膨張し、乾燥しては縮む。そして振動しながら音を響かせる...。いや〜、ピアノにとっては過酷な環境と言うほかないですね。
そして最終的には「響板割れ」を起こしてしまいます。
ピアノの「響板割れ」の映像 ぴあの屋ドットコム
以前ラジオに出演させて頂いたぴあの屋ドットコムさんの、アップライトピアノの響板割れ動画です。
ガラケーの方はコチラ⇒ https://youtu.be/Nq2hA-LD8AY
こ、こうなると、響板もただの木の板、ですね〜。
大切にしなきゃって思います。^^;
ピアノにとって一番居心地が良い温度や湿度、室内環境についてはこちらの記事で。

“ピアノを長く大切に”と考えている方は、時々やってみて欲しいことがあります。
そこで今回のピアノ魔法…
(〃^∇^)ノ~エイ*・゜゜・*:.。..彡☆
微妙な音の不調は、いつも弾いているご主人さまが一番分かるはず。
ピアノの鍵盤の一番上から最も下まで、どのあたりが良く響くか、逆に響かない場所はどこなのか、自分の耳で定期的にチェックしてみてくださいね。
またそういうつもりで確認すると、押し込みや戻りの抵抗や引っ掛かりなど、鍵盤の異状にも早く気がつくようになります。
ペダルなど他の部分も同じようにチェックしましょう。
ニャンコやワンコ、ウサウサ、ハムハムなど、ペットの体調を気遣うように、ピアノの調子も気にかけてあげるようにしてくださいね。
またペットにかかりつけの獣医さんがいるように、ピアノにもかかりつけの調律師さんが必要です。
定期的な調律はもちろん、何かいつもと違うなぁと感じたら、すぐに調律師さんに診てもらいましょう。
それがピアノと末永く暮らす秘訣。いつもバランスよく音が響くピアノを維持してくださいね♪
さぁ みなさん!
今日も楽しいピアノレッスンを♪ ・∀・*)ノ
*:゜・*:.。.*.。.:*・・*:.。*・
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まるごとピアノの本
ピアノ講師☆福田りえです。 (*^-^)/
前回はピアノを買うときのお話しを書きましたが、今回は「ピアノの寿命」についてのお話しです。
では早速いってみましょう!
ピアノもペットもご主人さまに似るってホント?

よくペットは飼い主に似てくる、なーんて言われることがありますよね。あるいは反対に、飼い主の方がペットに似てくるとも。
また、元々赤の他人である夫婦でも、一緒に暮らしている内にだんだんと似てくる、なんてこともあります。
お互い長い時間を共に過ごすことで、見た目や行動、癖、好みなど、知らず知らず似てくるのでしょうか。
実はピアノも同じようなことが言えるんですよ。
中古ピアノを探しに楽器屋さんに行くと、いろんなピアノを試弾することになりますが、その響きやタッチに以前の持ち主の面影が残っていることがあります。
たとえば
- 全体がバランスよく同じタッチになっている
- 中音域だけ良く弾いている
- 一音だけもしくは、何音かタッチや音が違う
など、以前使っていた人の弾き方の傾向や偏りが表れているんですね。
もちろんしっかり調律済みで展示されているピアノには、その面影も影を潜めてしまうんですが、中には前のご主人さまを恋しく思っているピアノもあるような気がします。^^
よく弾いてくれるご主人さまと長い年月を共にしたピアノは、そのご主人さまの影響を受けて似てくる、というか、ご主人さま好みのピアノになっていくんですね。
苦楽を共にし、喜びも悲しみも分かち合う、それがパートナーとしてのピアノの御役目、なのかもしれません。
しかし、そんな愛おしいピアノとも永遠の別れがくるとしたら...。
ピアノにとって寿命とは?

それではピアノの寿命って何年くらいなのでしょうか?
いや、そもそも寿命が来るとは、ピアノにとってどういう状態を言うのでしょうか?
元々ピアノというのは耐久年数の長〜い楽器ですから、ちょっとそっと使ったくらいでは「あ、壊れちゃった!」っていうことは、ほとんどないと思います。
頑丈そうな外見、してますもんね。^^
また弦やハンマーなどの消耗品は、余程のビンテージピアノでもない限り交換ができますから、費用がかかるとはいえ、あまり心配する必要はないでしょう。
ただし、ピアノの心臓部である「響板」、そこが痛むとその修理や交換はちょっと厄介です。
まず響板を外すには、弦やハンマー、フレームなど多くの部品を取り外さないといけないので、とても大掛かりな作業、オーバーホールが必要となります。
またピアノによってはこの響板の取り替えが、ビックリするくらい高額になってしまうことも。
ピアノの音色を支えている響板は、ピアノの個性や特徴そのものですから、昔から最高の素材と技術が注ぎ込まれてきた最重要パーツ。
交換する新たな響板も、それなりのものが必要となりますよね。
つまりこの響板の交換が発生すると修理費用がかさみ、新品のピアノが買えるくらいのお値段になることも起こるんです。
(響板を取り替えるくらいの大掛かりな作業なので、同時に弦やハンマーなど他の部品も入れ替えることが多いそうで、余計におサイフにダメージがぁ...。)
そういった意味でピアノの寿命というのは、高額の修理費が負担となって仕方がなく手放すとき、と言えるかもしれません。
ご主人さまの懐次第、というわけですね。
響板にダメージを与える一番の原因は?

ピアノは決して安い買い物ではありませんし、出来るだけ長く付き合っていきたいパートナーでもあります。
できればピアノの心臓部である響板にダメージを与えることなく、大切に使い続けていきたいところですよね。
では一体何が響板にダメージを与えるのでしょうか?
ピアノの弾き方によるダメージ
ピアノの響板には絶えず弦による圧力、弦圧がかかっているそうです。
通常、ギターやヴァイオリンなどの弦楽器は、使わないときには弦を緩めることができますが、ピアノの弦は緩めることがありませんから、常に弦圧がかかった状態なのです。
そして弾き方や弾く人によって、弦圧による響板への影響は変わってきます。
- 幼児や子どもなど力の弱い人が弾くピアノ
- ピアニストが弾くピアノ
- 音大生や受験生など長時間の練習に使うピアノ
- 弾く人が絶えずコロコロ変わるピアノ
それぞれ響板に与える負荷は違ってきますよね。
特に毎日長時間に渡ってガンガン弾きまくるピアノの場合は、響板への影響も大きく、痛みの要因にはなりそうです。
コンサートホールのピアノは、5〜8年くらいでダメになってしまうと聞きますし、音大生などがガンガン弾きまくっていると、10〜15年と短くなってしまったり。
ただ、しっかりと作ってあるピアノの響板は耐久性も考えられているので、余程低価格のピアノか、尋常じゃなほど激しく弾きまくらない限り痛む心配はないでしょう。
※そういう意味でも、純ドイツ製のピアノというのは優れているんでしょうね。^^
一般のご家庭で、常識的な弾き方をしている限りは大丈夫。むしろ次の要因の方が、大きな問題になりそうです。
ピアノの置かれている環境によるダメージ
一般の家庭にピアノを設置する場合、その置かれている環境による影響というのは思っているよりも大きいようです。
コンサートホールなど、ピアノを弾くために作られた場所では、常にピアノにとって最適な環境が維持されています。
まあ、置いてあるピアノ自体がとても高価なので当然ですが。^^;
しかし一般の家屋は、そもそも人が住むために作られているのであって、少なくともピアノを置くことを大前提にしているというわけではありません。
最近の住宅ではピアノを置くかもしれない場所の床に、あらかじめ補強を入れておくこともありますが、じゃその他の環境面はどうかというと、う〜む、です。
特にピアノに影響を与える環境要因は、
- 日当たり
- 室温
- 湿度(乾燥)
などがありますが、室温や湿度を常に一定に保ち、ピアノに最適な環境をキープし続けるのは、なかなか難しいですよね。
ただでさえ日本の夏は湿気が多く、冬も寒くて乾燥しやすい上に、エアコンや暖房機器による温度・湿度の振れ幅が大きくなります。
木材で作られているピアノは湿気や乾燥にとても敏感、心臓部である響板(もちろん木材)もダメージを受けることになるんです。
湿気を吸っては膨張し、乾燥しては縮む。そして振動しながら音を響かせる...。いや〜、ピアノにとっては過酷な環境と言うほかないですね。
そして最終的には「響板割れ」を起こしてしまいます。
ピアノの「響板割れ」の映像 ぴあの屋ドットコム
以前ラジオに出演させて頂いたぴあの屋ドットコムさんの、アップライトピアノの響板割れ動画です。
ガラケーの方はコチラ⇒ https://youtu.be/Nq2hA-LD8AY
こ、こうなると、響板もただの木の板、ですね〜。
大切にしなきゃって思います。^^;
ピアノにとって一番居心地が良い温度や湿度、室内環境についてはこちらの記事で。
ずっと末永くピアノと一緒に過ごすために

“ピアノを長く大切に”と考えている方は、時々やってみて欲しいことがあります。
そこで今回のピアノ魔法…
(〃^∇^)ノ~エイ*・゜゜・*:.。..彡☆
ピアノの最低音〜最高音までよく耳を澄ませて弾いてみて♪
微妙な音の不調は、いつも弾いているご主人さまが一番分かるはず。
ピアノの鍵盤の一番上から最も下まで、どのあたりが良く響くか、逆に響かない場所はどこなのか、自分の耳で定期的にチェックしてみてくださいね。
またそういうつもりで確認すると、押し込みや戻りの抵抗や引っ掛かりなど、鍵盤の異状にも早く気がつくようになります。
ペダルなど他の部分も同じようにチェックしましょう。
ニャンコやワンコ、ウサウサ、ハムハムなど、ペットの体調を気遣うように、ピアノの調子も気にかけてあげるようにしてくださいね。
またペットにかかりつけの獣医さんがいるように、ピアノにもかかりつけの調律師さんが必要です。
定期的な調律はもちろん、何かいつもと違うなぁと感じたら、すぐに調律師さんに診てもらいましょう。
それがピアノと末永く暮らす秘訣。いつもバランスよく音が響くピアノを維持してくださいね♪
さぁ みなさん!
今日も楽しいピアノレッスンを♪ ・∀・*)ノ
*:゜・*:.。.*.。.:*・・*:.。*・
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失敗しないピアノ選びのコツやメンテナンスの方法、ピアノがうまくなる方法などを、ピアノ工房を主宰する著者が実体験にもとづいて解説。